昨日は早く家に帰ることが出来た。所属している野球部が休みだったのだ。家に着くと、学校であひるが密かに言っていた研究所の名前をインターネットで検索した。しかし、出ていなかったので非公式な組織だという事が分かった。それからはその研究所の事について妄想を膨らませていた。どのような場所か、どのような建物か、研究所には何人の人がいるのかなどを考えていた。考えているうちに寝てしまった・・・。 「どうしたの?」あひるの声に気がついたのは研究所に向かっている時だった。「何でもないよ・・・」僕はそう言った。「もうすぐで研究所に着くわよ」あひるの言ったとおり、研究所はすぐに見えてきた。昨日妄想していたどのような場所か、どのような建物かはすぐに解決した。研究所は人通りがない殺風景な場所に立っていた。研究所は木だけで出来ている簡素なものだった。研究所に掲げられている看板には、『けんきゅーじょ』とまるで子供が書いたような文字が書かれていた。あひるは入り口に案内した。入り口にある鉄格子の扉を開けると、そこにはまさに『未知の空間』が広がっていた。見たこともないような機械、100人を超える人々、そして研究所中に響き渡る動物らしきものの鳴き声、すべてがケイトには新鮮に思えた。きょろきょろしているケイトを見かねたあひるは「早く来て」と急かした。「うん、ごめんごめん・・・」ケイトはそう言いながらも、あたりを見まわしていた。あひるはため息をつきながら所長室をノックして入った。「どうした!?」所長は不機嫌そうに言った。この研究所の所長である菅井忠信は所員に、自分のことを『チーフ』と呼んでくれと頼むウザいやつである。あひるは心の中で『ここはアメリカの秘密組織か!?』と突っ込んでみた。「・・・実は所ちょ・・・じゃなくてチーフ!昨日話をした少年を連れてきました!」あひるは軍人のように言った。「そうか、そうか。・・・で、どこにいるんだ?」菅井所長(じゃなくて、チーフ)が聞いた。「ええと、ただいま連れてきます!」あひるはそう言うと所長室を出て行った。「チーフが呼んでいるから来て」あひるはケイトにそう言った。
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