5月9日、晴れ。笹野ケイトは近道を通りながら学校に向かっていた。目覚まし時計をセットするのを忘れ、遅刻しそうになったのだ。学校に着いた時には、チャイムが鳴っていた。「・・・やべえ!!」ケイトは急いで玄関に入り、靴を脱ぎ変え、教室に入った。生徒はすでに椅子に座っていた。「・・・よ!」ケイトは息を切らしながら挨拶した。 担任の橋本直人が入ってきたのはその数秒後だった。ケイトは急いで席に着き、橋本が話すのを待った。「・・・えー、今日はわけあって自習にする!」橋本の唐突な一言に僕は驚いた。「イエーイ!」生徒は飛び上がらんばかり喜んだ。「どうしたんですか、先生?」ただ一人、ケイトは訊いた。「・・・ちょっと、用があってな・・・」橋本はそう言うと足早に教室を出て行った。その時、ケイトは鳥肌が立ったような感じがした。橋本の首筋に『目玉』のようなものが浮き出ていたのだ。ケイトは今まで感じた事のない吐き気がした。その『目玉』はこちらをじっと見つめていた・・・。 ケイトが少女が体育館付近にいることに気づいたのはその『目玉』を見てしまった直後だった。その少女はこちらをにらみつけるように見ていた。ケイトは嫌な感じがした。すると、少女はそのまま体育館へ入っていった。来い、という合図なのか?ケイトはそう感じた。 放課後、ケイトは少女に呼び出された。体育館はひどく荒れ果てていた。この体育館は今は使われておらず、物置小屋として使われているのだ。そこの中心に少女が立っていた。少女はケイトの気配を感じたように振り向き、こう訊いた。「ねえ、今日あなたは担任の先生の首筋になにかおできみたいなのが出来てるのに気づいたでしょ?」ケイトは迷わず「ああ」とだけ答えた。「あなたの先生はある生命体に憑かれているのよ」この少女の一言にケイトはショックを受けた。「どういうことだ?」少女は「ねえ、あたし達の研究所に入ってみない?秘密を教えてあげるから」と言った。ケイトは悩んだ。ついていくべきなのだろうか?「・・・分かった!」迷ったあげく、ケイトは決意した。しかし、この少女との出会いが大事件にかかわる事になろうとは、ケイトは思っていなかった。
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