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作品名:10years 作者:空を仰ぐ人

第4回   〜4〜
「じゃ、姉御、智を送るからまたね」
「はいはい。二人乗りなんだから気をつけるのよ」
俺は智の手を引いて駐輪場へ向かった。早く姉御の前から離れて智に聞きたいことがあったからだ。
「ごめん。俺、なんか言い過ぎちゃった?」
「どうして?」
さっきの切なそうな表情が嘘のように、あっけらかんと智は聞き返す。
「だって切なそうな顔してたから」
「だって柿沼さんとカズ君、いちゃいちゃしてたもん」
「へ?いちゃいちゃなんてしてないって」
「してたもん。あたしね、今日は車に乗る日でね」
「うん」
「少し早めに終わってね」
「うん」
「待合室の外で二人を見てたんだよ」
「・・・」
「あたしの知らない何かがあるの?柿沼さんと」
「ないない。神に誓ってない」
「ほんと?ほんとに何もないの?」
「ほんとにないよ。もしかしてそれであんな表情を?」
「だってぇ・・・」
「やきもちってやつ?」
「ばか」
なんて可愛いんだろ。とても年上とは思えない。最近では愛しささえ感じる。それを再認識出来る一瞬だった。


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