ドラッグストアから通りに出て加速する。確かに智よりは乗り慣れている感じがする。俺は少し安心して、車の流れをかわしつつ車列の一番前に出た。智たちはもう竹とんぼに着いているのだろうか。いつもとちょっとだけ違うこんなのも新鮮でいい。シールドを抜ける風が爽やかなのも俺の気分を良くした。待ち合わせの場所、竹とんぼまで10分てところか。俺は気持ちよくスロットルを開けて走った。 俺やチャコは自宅のある町の隣町でバイトをしている。竹とんぼは俺たちの自宅がある町にあった。時間にしてあと3分というところまで、俺とチャコは近付いていた。後ろにチャコを乗せてるのに、気持ちよく走りましたなんて、絶対智には言えないなぁ。そんなことを考えていたら、視線のずっと先に沢山の人だかりが出来ているのに気がついた。それも道路上にである。 怪訝に思った俺は速度を落として、少しずつその現場に近付いていった。人だかりの少し手前の交差点で赤信号で止められた。この人だかりは多分事故だろう。目の前に友達の拓が勤めるガソリンスタンドがある。状況は後で拓に聞くとするか。 なんにしても通れなさそうなので、迂回していいかと後席のチャコに聞いた。チャコもそうだねぇと言って迂回を承諾した。横の信号が黄色に変わり、俺がクラッチを握ってギアを入れようとしたその時、救急車の音が猛烈な勢いで近付き交差点を現場の方に曲がった。気付いた人だかりが、道路上から歩道側へさっと避けた。とたん俺の目が釘付けになる。白いセダンが横向きになり道路を塞いでいて、そのドアに突き刺さるようにしてバイクが突っ込んでいた。遠目にも弘樹のバイクだと分かる。
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