最初はビクビクしていたのに、終わってみればなんてことはなく、予想以上に楽しい時間だった。4人で共有した秘密の時間、それを持ったことがよりいっそうそう感じさせているのかもしれない。来た時と同じようにネットフェンスをくぐり、こそ泥集団は歩道に出た。バイクをとめた所まで並んで歩く。俺は煙草をくわえ火を着けた。 「明日なんだけどさ」 それまで適度な疲れと余韻に浸って、静かに歩いていた俺たちだったが、弘樹が突然話し始めた。 「ん?」 「ボーリング行かねぇ?」 「ボーリング?なんで突然」 「いや、割引券手に入れたから」 「この暇人。お前もバイトくらいしろよ」 「たまに家の手伝いしてるからいいんだよ」 「しっかり金をもらってんのか?」 「当たり前じゃん、あれが俺のバイトだもん」 「俺は明日はバイトだよ。午後の3時まで」 「あたしも夕方までバイトだよ」 チャコも答える。彼女は俺がバイトしているコンビニのすぐ近くのドラッグストアで働いていた。チャコとは比較的家も近く、幼稚園からずっと一緒だった。互いに好きになった時期があったが、どちらかが告るとその時は相手に付き合ってる人がいるという状況を繰り返し、結局今のかたちに落ち着いている。 「なんだよ、せっかくの夏休みじゃん。冴えねぇなぁ」 「冴えてねぇのはお前だって」 「何がよう?」 「学生の本分を忘れてる」 「あ、それ、カズにだけは言われたくないわ」 4人は笑った。
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