「おりゃぁ!」 何の気合だか分からない叫び声をあげ、俺はプールに飛び込んだ。水の冷たさにほんの一瞬心臓がどきっとしたが、やがてそれも快感に変わる。素っ裸のプール。これは病みつきになりそうだ。これからこの先、夜のプールに忍び込んで素っ裸でしか泳げない体になっちまったらどうするんだよ、まったく。 「どう?裸は気持ちいい?」 智が泳いで近付いてきた。 「最高!何の抵抗もないし、ほんとに水に包まれてるって感じ」 「いいなぁ、それ」 と智。 「俺も脱いでみっかな」 そういう弘樹にチャコが『やれやれ』とちゃちゃを入れている。 いつの間にか弘樹も海パンを脱いだらしく、手に高く掲げて『気持ちいい!』を連発していた。ほらみろ、やっぱり気持ちいいんじゃん。 「智も脱いでみたら?」 後ろにいる智に振り返り、わざと言ってみたら 「そうしようかなぁ」 なんて言うもんだからドキドキしてしまった。 俺たち男共は、もう何の恥ずかしさも抵抗もなく、素っ裸のままでそれが当たり前のようにプールサイドを走り回ったり、そこからプールに飛び込んだりしていた。それを智とチャコが肩を並べて見ていた。馬鹿ねぇなんて声も聞こえてきたが、それは羨ましさを含んだ『やっかみ半分』のようだった。 しばらくたって俺が下手くそなクロールで泳いでいると、誰かが近付いて来るのが気配で分かった。智だった。泳ぐのをやめ、その場に立ち止まった俺に 「えへへ。あたしも脱いじゃった」 と言った。 「え?」 驚いてまじまじと智を見た。暗い水の中だしはっきりとは見えないが、どうやら本当に裸らしいことは分かった。 「おいおいともぉ・・・」 「チャコちゃんもね、脱いじゃったよ」 「何を考えてんだか」 「だって男の子ばっかりずるいもん。気持ちよさそうでさぁ」 「実際気持ちいいんだから仕方ないだろう」 「うん、すごく気持ちいいね。やってみて分かった」 そう言うと智は泳ぎだした。まるで捕まえてごらんと言わんばかりに。ゆらりと変な泳ぎ方で離れて行く智の白い尻が、波の間に間に現れては月明かりがそれを照らし出す。妖しさを帯びてすごくなまめかしく、そしてとても綺麗だった。残った二人を目で探すと、プールの端の方で軽く抱き合いいちゃついていた。俺は智の後を追い、同じく月に照らされながら泳ぎだした。
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