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作品名:届いて 作者:まきえゆうと

第1回   1
誰だってやってるし、悪い事じゃない。
法律とかわかんないけど、合意の上だし大丈夫。
そう思ってた。
「エッチだって初めてじゃないもん。平気だよ」
由香も楓も笑ってる。
「じゃ、うちら行くからね。10時にマックでね!」
それぞれの待ち合わせに向かう。
駅前は,混み合う時間になっていた。


今日、私は、初めて援交の待ち合わせをしたんだ。
ただ、新しいバッグが欲しいだけで。
みんな、簡単に手に入れてるし。
ほんと、簡単だなって思ってるし。
でも、ほんとは何か違うかも…って思ってたりもする。

「こんにちは」
清潔そうな大人の男の声がした。
「咲ちゃんですか?」
「はい」

思ったより若くて、デブッた中年じゃなかった。
まじまじと見てしまった。

(とうとう行くんだ)と思ったとき。

 「あんた何してるの?誰よこの人?知り合いなの?」
見知らぬ女が私の手を取り叫んだ。
驚いた私は、「何なの?あんた!しらない!」と手を振りほどき走った。
怖かった。つかまるのかと思った。怖くて震えた。

(こんなことになるならもうしない)そう、思いながら走った。
「まって!…つかまえた」今度は肩を激しくつかまれた。
でも、その人はやっぱり見知らぬ女で……。
「なに?何なんですか?私何もしてないじゃん!」
もしかして、警察なの?私は涙が出そうになるのを必死にこらえて彼女をにらんだ。

!!!

涙が出そうなのは彼女も同じだった。驚いた!警察じゃないの?
「あなた、後悔してたでしょ?」
 「……か、関係ないでしょ。マジ、うざいんだけど
 親でもないのに何なの?エッチだって初めてじゃないし全然平気なんだよ!」
やっと出た言葉は、裏腹な最低な言葉だった。
由香と楓にも言い訳できる!なんて考えてたし。

あの時、まだ自分のために誰かが何かしてくれるって考えられなかった。
誰かにやられた!って言って自分を守る方法しか知らなかった。
だって、そうしたら皆が慰めてくれるもん。

彼女の手を振りほどき、家までの距離とてもとてもつらかった。
ただ、それだけは忘れられない。私はとてもつらかった。
彼女の話を聞けなかった事も…。









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