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作品名:ダ・ヴィンチの福音書 外伝 洗礼者ヨハネ 作者:そのうちみのる

第6回   Y.悔悛
Y.悔悛

マリヤと最後に会ってからどれだけ過ぎたことだろう。
あれ以来、私の時間は止まってしまったかのようだ。
何をしても意味を見いだせない。自分の存在価値を見いだせない。

私についていた弟子が、また一人イエスの元へと去っていった。
イエスの語る教えは、火のように熱く、また水のように人々の心を潤すと聞く。
花嫁を迎えた花婿は、ますます栄え、その名はユダヤの隅々にまで届くことであろう。

私は、何のために生まれたのか?
  花婿にお仕えするためではなかったか。
厳しい修行にも耐えたのは何のためか?
  あらゆる欲望と邪なる思いを切り捨てるためではなかったか。
それなのに、イエスの名を聞いた途端、私の心の底から醜いものが溢れ出てきた。
私から溢れ出す、疑い、ねたみ、憤り、それらを押さえることなど出来やしなかった。

マタイによる福音書 第一四章一節〜四節
【 そのころ、領主ヘロデはイエスのうわさを聞いて、家来に言った、
 「あれはバプテスマのヨハネだ。死人の中からよみがえったのだ。
 それで、あのような力が彼のうちに働いているのだ。」
 というのは、ヘロデは先に、自分の兄弟ピリポの妻ヘロデヤのことで、ヨハネを捕らえて縛り、
 獄に入れていた。
 すなわち、ヨハネはヘロデに、 
 「その女をめとるのは、よろしくない」
 と言ったからである。 】

やりきれない憤りに身をまかせ失言した咎ゆえに、私は今、獄の中にいる。
神はなぜこのような酷な業を、私に与えたもうたのか?
私が従わなかったからなのか?
イエス・・・彼は真に神の小羊なのか?


マタイによる福音書 第一一章一節〜二○節
【 イエスは十二弟子にこのように命じ終えてから、町々で教えまた宣べ伝えるために、
 そこを立ち去られた。
 さて、ヨハネは獄中でキリストのみわざについて伝え聞き、自分の弟子たちをつかわして、イエスに言わせた、
 「『きたるべきかた』はあなたなのですか。それとも、ほかにだれかを待つべきでしょうか」。
 イエスは答えて言われた、
 「行って、あなたがたが見聞きしていることをヨハネに報告しなさい。
 盲人は見え、足なえは歩き、重い皮膚病にかかった人はきよまり、耳しいは聞え、
 死人は生きかえり、貧しい人々は福音を聞かされている。
 わたしにつまずかない者は、さいわいである」。
 彼らが帰ってしまうと、イエスはヨハネのことを群衆に語りはじめられた、
 「あなたがたは、何を見に荒野に出てきたのか。風に揺らぐ葦であるか。
 では、何を見に出てきたのか。柔らかい着物をまとった人か。
 柔らかい着物をまとった人々なら、王の家にいる。
 では、なんのために出てきたのか。預言者を見るためか。
 そうだ、あなたがたに言うが、預言者以上の者である。
 『見よ、わたしは使をあなたの先につかわし、
  あなたの前に、道を整えさせるであろう』と
 書いてあるのは、この人のことである。
 あなたがたによく言っておく。
 女の産んだ者の中で、バプテスマのヨハネより大きい人物は起らなかった。
 しかし、天国で最も小さい者も、彼よりは大きい。
 バプテスマのヨハネの時から今に至るまで、天国は激しく襲われている。
 そして激しく襲う者たちがそれを奪い取っている。
 すべての預言者と律法とが預言したのは、ヨハネの時までである。
 そして、もしあなたがたが受けいれることを望めば、
 この人こそは、きたるべきエリヤなのである。  】






・・・死を目前にして告げる。



神よ。
御心のままに生きることができなかった私をお許しください。




愛するマリヤよ。
貴方に、私の荷をも背負わせてしまったことを許してほしい。




そして、我が義弟よ。
行く道を違えたことを許しておくれ。


       
           
               完





【あとがき】

カテゴリー:歴史
「ダ・ヴィンチの福音書」の、外伝になります。
今回は、洗礼ヨハネに的を絞りました。

洗礼ヨハネの両親は、ガブリエルからの啓示を受けて、自分の子が「主の道を備える者」。
従姉妹のマリヤからは「主」が生まれることを知っていました。

それなのに、なぜ洗礼ヨハネやその両親は、主であるイエスから遠ざかってしまったのでしょうか?彼らはイエスの親戚なのにです。

30歳近くになって、イエスと洗礼ヨハネはヨルダン川で出会います。
しかし、洗礼ヨハネは2人の弟子を送るだけで、自分はイエスから距離をおいています。
それらには、何の理由があったのか?

イエスの母マリヤは、天使ガブリエルから啓示を受けた後、急いでエリサベツの元に行きます。そして、エリサベツの元で3ヶ月暮らすのです。
マリヤが3ヶ月そこに滞在したのは、エリサベツの出産のお手伝いのためですか?
いいえ、マリヤはエリサベツが出産する前に帰ってきています。
では、何のために、3ヶ月も滞在したのか?

これらの疑問の答えが、今回のテーマになります。
もちろん、これらの小説の内容はフィクションです。
そのうちみのるの聖書・絵画解釈から成り立つものです。

Yahoo!ブログで、また絵画を提示しながら解説していきたいと思います。
どうぞ、お越しになってください。
ブログタイトル名『ダ・ヴィンチの小部屋〜最後の晩餐にご招待』です。

なお、6月23日より、ヤフー側のトラブルで、ブログタイトルで検索しても、ブログが表示されないというトラブルに巻き込まれています。
ブログに入るには、アドレスから入ってください。

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そこのコメント欄に、アドレスを記載しておきます。
こちらの欄にアドレスが書ければ良いのですが、アドレスの記載は禁じられてますので
ご容赦ください。

ご不便をおかけしますが、何卒ご了承願います。

                            そのうちみのる


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