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作品名:one-way traffic 作者:ティルト

第10回   10
 程なく私は体も元に戻り、またいつものメンツで遊んだり恋人さんと会ったりしてた。
 思い人には、二回抱いてもらった。
 恋人さんは、キスをしてくれるようになったけど、ちょっと悲しそうな顔をすることが多くなった。
 私は、とても罪深いヤツなんだと思い知った。


 ある日私は家族と買い物に出ていた。その時、恋人さんを見かけたんだ。友達らしき人と一緒に歩いている恋人さんを。
 別にそんなことくらいで私は妬いたりしない。友達がいない方が心配だし。私と約束が無い日に私以外と会っちゃいけないなんて思わないし。
 でもちょっと気になったので、こっそり後をつけてみた。休日だったからかな、意外と見失わないし、意外と気付かれないことがわかった。
 まぁさすがにずっとは飽きるから程ほどでやめようと思ったんだけど、狙ったかのようなタイミングで、二人は人が少なめの広場の隅辺りに立ち止まった。
 何か話してるみたい。内容は聞こえないけど。
 しばらく私は様子を見守った。その姿はもしかしたらけっこう、周りから見たら滑稽だったかもしれないけど、事情も知らず関係もない人がどう思ったって、TPOより大事なことってのもあるのよ。と心の中で言い訳をしてみる。

 どうも、友達の方が私の恋人さんになにやら問いかけたりしてるカンジだった。恋人さんの表情は・・・困り顔?っていうか苦笑かな。
 で、なんとまぁ友達の方がキスを要求し始めたようで、しきりと体を密着させてっていうか恋人さんを抱きしめてキスをねだるようにしていた。

形は大分違うけど、同じような状況を私は恋人さんに見せたのか。
こんな気持ちを、味わったのか。
しかもなんの心構えも無いときに。

 改めて、早く裁きを下せと神を500万回罵ろうと決意した。
 そうやって想念に侵されつつも、目はしっかり二人を捉えていて、そして・・・




私の恋人さんは、友達の口を手で抑えて、申し訳なさそうな苦笑をしながら、「ごめんね、だめなの」と言った。言ったように見えた。そして友達のほうは不満そうな顔をして私の恋人さんを抱きしめると、離れて元通り歩き始めた。恋人さんも、見てる私が同情したくなるような気の毒そうな顔をして後についていった。


死にたくなった。


というか、本当に、どうして私に罰としての死が訪れないのか、不思議でしょうがなかった。
それとも、これが罰なのだろうか。こうして己の罪深さを痛感し、その業に悶えて狂えというのだろうか。

私は、そこまで悪いことをしたのだろうか。

 恋人さんにとっては確かに、裏切りであり背徳であり罪であるのは確か。確かだよ、うん。
 ただ私はこの不具の心が満たされたかった。それは罪なのだろうか。たまたま罪になる方法を選んでしまっただけ、ということなのだろうか。


私にとって、充足感と罪はセットにしかならないのではないのか、と絶望したくなる。


神め、会えたら殺してやる。100回殺してやる。悪魔の仕業ならそいつを100万回殺してやる。


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