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作品名:女神の愛し子 作者:夢あい

第3回   3
王宮の部屋は、見たこともないほど豪華だった。優が立ちつくしていると
「ユウ様、今日の所はごゆっくりしていただいて、明日には早速、女神のご神託を受けていただきます。
 それでは、私は失礼させていただきます。」
ジルベールは出て行き、それに入れ替わるように、侍女の格好をした少女が入ってきた。

「失礼いたします。今日からお世話させていただきます、キャロルと申します。
 早速ですが、何か召し上がられますか?」
キャロルと名乗った少女は、優より少し下のようで、茶色い髪のかわいい顔をしていた。

「あ、え? 何かって、、、。別に何も要らないと思います。ごめんなさい。」
きらきら輝く目で見つめられてしまい、どぎまぎしながらようやく答えると
「あ、すみません。今日、来られたばかりなんですよね。私ったら女神様にお仕えすることができるって
喜んでしまって。とりあえず、お茶と軽いものをお持ちいたしますね。」

そういって、キャロルは優が止めるまもなく出て行ってしまった。

あらためて、部屋の中を見渡す。大きな窓の外は夕暮れのようで、部屋の中もだんだん夕焼けに染まっている。
電気もない世界があらためて暗い事を知ると、現実なんだと感じて、ふらふらと大きなベッドに腰掛けた。
  ここはやっぱり異世界なのかな。召還なんて魔法かなんかだろうし、女神様が本当にいるなんて。
  それで私は一生ここで暮らすことになっちゃうのかな。
  でもやっぱり透は助けないと。それはやらなくちゃね。
不安になる気を奮い立たせていると、キャロルがお茶とパンやお菓子のようなものを運んできた。

「女神様。気持ちが落ち着くハーブティーをお持ちしました。どうぞお飲み下さい。」
「ありがとう。いただきます。それと私のことは、ユウでいいです。」
「え!そんな駄目です。私なんかが」
「お願い。ね?」
「は、はい、、。」

困ってしまったキャロルを説き伏せ、優はお茶を飲んだ。そのお茶は不思議な香りがしたが、少し落ち着いた
気がした。
早々に寝ることにして、ベッドに潜り込む。寝られないかと思ったが、思ったより疲れていたとみえて
すぐに眠りに落ちてしまった。


翌朝、優が目覚めるとすぐにキャロルがやってきて、優のためにと持ってきた服を着せられた。
その服は白一色で、腰の所を金の鎖で留めるシンプルなドレスだった。
着替えが終わるころにジルベールがやってきた。

「おはようございます、ユウ様。準備はお済みのようですね。では早速参りましょうか。」

連れられてきたのは王宮の広い奥まった庭で、こんな所でどうするのかと訝しんでいたら、一頭の馬が
やってきた。その馬は白く鬣が金色で長く、さらに大きな美しい羽が生えていた。

「きれい、、、。」
思わず感嘆の声をあげて見つめていると、その馬がこちらに寄ってきて、背に乗るように促す。
「え?乗れって?」
あまりのことに、おろおろとジルベールに助けを求めると
「天馬は女神の眷属です。女神の所にお連れするためにやってきたのですよ。安心してお乗り下さい。」
優はまじまじと天馬を見つめ、やがて決心したように天馬に乗ることにした。
乗ろうとすると、天馬が跪く。到底ありえない行動に、やはり天馬なんだと妙に納得して、天馬の背に
落ち着いた。
天馬は、優がしっかり乗ったことを確認すると、静かに飛び立ち、王宮を後にした。



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