そうだなぁ。たぶん人間にとっても変な奴だったんだと思う。」 「どんな風に…でしょうか?」 「とりあえず、人間で言う家はなかったな。それに『仕事』とかにも行ってなかったぞ。でも、とにかくおひとよしな奴だった。そして…」
ここからは、ドラ吉の視点でお楽しみくだされ。
俺が小さいころ、大きな木と砂と後人間の子どもが遊ぶ道具がある場所に住んでいた。そのころの俺は、うまくえさも取れないしまだ母親のそばにいなきゃいけない時期だったと思う。でもな、母親はそこのとても早く動くものによって動かなくなってしまったんだ。だから俺は、すでに一人だった。そのときに奴に会ったんだ。そう、こんな風に降り続ける雨の中でな。 奴はこう言ったんだ。 「そんなに小さいのに母ネコが死んだらお前もおしまいだな。」 そして俺の体を持ち上げて二カット笑いやがった。 「そうだ、どうせおしまいならオレといっその事いないか。俺もたぶんおしまいなんだろうしさ。」 そうして、オレと奴との妙な生活が始まった。 まず、オレが起きるだろう。腹減るから。そして奴を起こす。そしたら、奴はどこかに消えて戻ってくると、少しの食べ物を運んでくる。その中の肉とかを俺に分けてくれる。 で、それがすむと今度はまたどっかに行くんだ。 返ってくるのは夕方。そのときには、ほんの少しの硬くて丸いのを持ってくる。やつは、『お金』と呼んでたな。 そして、星空を見ながら食べて寝る。 こんな生活を一ヶ月ぐらいしたころからかな。奴が俺のほうにぐたぐたと話し始めたのは。
「なぁ、トラ吉。しってるかこの世界はとんでもなく広くいろんな奴がいる。俺なんてちっぽけな存在だ。そんな自分が大それたことを考えたことがあるんだ、若いときに。だからかなぁ、今お前といつもいるのがとても幸せなんだ。だってお前は、何も言わずに側にいてくれるだろう。でもな、前のオレの周りには俺なんかを見てなかった。俺の近くにあるお金ばかり見てたんだ。それがいやでなぁ。だから、遺書書いて死ぬつもりで五階建てのマンションのてっぺんから落ちたんだ。家族にも親戚にも近しい人にも何も言わないで。金は、施設に行くように手続きをして。そしたらよ、助かっちまうんだよ。それからオレは、気のふれた振りをして周りを遠ざけた。心の中では、誰かが側に残ってくれると思ってたんだけど…。」 奴は、ここで一息ついて呟いた。 「俺の周りには、誰一人として残らなかった。………、そんな時なんだよお前を拾ったのは。だから嬉しいよ。お前に会えて、死ななくて良かったと今思えるようになったのもお前のおかげだ。感謝している。まぁ、ドラ吉おまえさえよければずっと側にいてくれ。」 俺には、どうして奴が感謝しているのかが分からなかった。自分で死ぬなんて分からない。生きているのが当たり前で生き抜くのが俺の義務だ。どうして奴は、死にたかったのだろうとそのときに良く考えた。そしてそのことに興味も引いた。 それからは、奴の語ることをずっと耳を立てて聞いていた。それから何ヶ月か過ぎてくると、興味は奴以外の人間に移っていった。
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