昼食後のウトウトしたくなるような午後。 「眠い……」 コピー室で大量のコピーを頼まれた綾乃は、眠気と格闘していた。 大きく欠伸。それに続いて。 「はぁ……」 深いため息。 そのとき、ふと目に入ったのは。
左手薬指の、結婚指輪。 私、結婚したんだよね。 手を宙に仰ぎ、まじまじと見る。 指輪したって、何も変わらないのに。
4ヶ月前、綾乃は大学時代から同棲していた智史と結婚した。 正直結婚したからって何も変わらない。 毎日、仕事行って、帰ったら洗濯掃除、ご飯作って。 二人で食事して他愛ない話ながら、甘い時間を過ごして。
なんてことない、日常。
結婚前から続いている二人の生活。
まだ新婚といわれるけど、本人たちは倦怠期の夫婦みたいな(笑)
ウィンウィン♪と軽快なテンポで紙を排出していたコピー機が急に止まった。 「あれ、終わり?」 まだ予定枚数終了していないのに。 「やだ、紙詰まり!」 軽くコピー機を小突いた。 「何処が詰まったのよ、私、わからないよ」 オロオロしている綾乃の前に。 「立花」 「救世主!」 姿を見せたのは、同僚の渡辺 高志。 「コピー、止まった。見てくれない?」 綾乃の本性を知っている、数少ない男だった。
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