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作品名:思考遊戯 作者:タブ朗

第3回   急用
「よお帰りに一杯やらねえか?」
「お、悪くないね。」
大好きな酒の誘いに一瞬心が揺れたが、届いた携帯のメールを見て考えを変えた。
「あ、悪い今日はちょっと急用が入っちゃった。」
「そか、そりゃ残念。じゃ、お疲れ。」
「お疲れ。」
酒は大好きだが、何しろ急ぎの用ができた。
仕事を終えた男は会社を後にして、いそいそと駅へと向かい、いつもの電車を待った。
ほどなく電車が到着して、電車に乗ると吊り棚にスポーツ紙を見つけて手に取って記事を読んだ。
「お!池袋に新しいキャバクラが出来たのか〜。」
懐から財布を取り出し中身を確認して、、、
「予算は充分なんだが、、、」
スポーツ紙を吊り棚に戻して気を取り直した。
「とにかく急がないと。」
仮に今日、大事なお客さんとの予定があったとしても、キャンセルしただろう。
何よりも大切なことがある。男は急いだ。
だが、男は池袋で電車を乗り換える途中、ふと足を止めた。
「ちょっとだけ寄り道をしよう!」そう考えた。
それから向きを変えていつもと違う方向へ向かった。
東武デパートに入りデパ地下へと進むとケーキを物色して、ケーキを2個買った。
「ケーキにはワインが合うか?」
と次にワインを適当に選んで購入し、いつもの駅のホームで電車を待った。
特別何かがあるわけではないのだが、、、男は急いでいた。
それは携帯にこんなメールが届いたからだ。
「会いたい。」
とだけ書かれた彼女からのメールだ。
時に、どんな言葉よりも強く気持ちを伝えてくれる言葉がある。
「会いたい。」
男は今ものすごく彼女に会いたくてどうしようもない状況になっている。
彼女の待つ部屋までの距離がこんなに遠く感じた事があっただろうか?
男は電車を待つホームでメールを送信した。
「今池袋なんだけど、、早く君に会いたくてどうしようもない。」
皆さんはキチンと気持ちを伝えてますか?

お終い。


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