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作品名:契りの影 作者:ショウ

第3回   第三話目 契りの影
3日
「どういうことだ?」
「お前が望んだ事だ!」
「どうすればいい」
「・・・・・・・・」
「答えろ!」
「お前は知ってるはずだ!」

 陸は飛び起きた。Tシャツに汗がビッショリと含まれている。
何が何だかわからない。今まで見ていた夢が思い出せない。
「おかしい、何かとても重大な事の気がする。」
陸は必死に思い出そうとするが、何故か思い出す事が出来ない。
「おかしい」
突然、陸の脳裏には由美の顔が浮かんだ。
「由美・・・」
鼓動が激しくなる、頭の中に何か別の人物がいるようだ・・
陸は携帯に目をやった。携帯は8時をしめている
「やばい!遅刻だ!」
アラームを確認してみると、確かに何度か鳴った形跡がある。
「なぜ、気づかなかったんだ??」
陸は自分の体に起こっている異変にイヤな感覚を覚えた。
「とにかく急がなければ・・」
身支度を済ませると、陸は急いで駅に向かった。
駅につくと陸は会社に電話した。
「おはようございます。山口です。」
「あ、山口さんお疲れ様です。」
電話に出たのは、後輩の北村だった。
北村直樹は陸の一つ下の同僚なのだが、
気がとても合う人物だ。よく意味の無い会話を交わす、
陸にとって大事な人物である。

「ナオくん、おはよう、やっちまった完全に遅刻だ。部長いる?」
「まだ、来てないですよ。」
「どうしたんですか?」
陸は北村に昨日の出来事を話そうか悩んだ。
「ああ・・」
陸は話す事をやめた
「寝坊した、完全に・・」
「寝坊っすか?任せておいて下さい。部長に巧く言っときますから、そういえば今日村上さんの所に行く日ですよね。」
北村が何かを考えている。
「それじゃあ、そのまま村上さんの所に行って下さい。

先方には僕から伝えておきますから、ちょっと早くなるって・・・」

「その後、帰りに清和商事によってこの前の奴の確認をお願いします。この流れでどう

ですか?部長の事は任せて下さい。ちゃんと処理しておきますから・・・」

「大丈夫かな?」

「大丈夫ですよ、僕に任せてください。」

陸は感謝の気持ちと不安を感じながらも、

北村の案に今回は乗る事にした。

「悪い、ナオ君ありがとう。そうさせてもらうよ。」

「任せて下さい。けど、いいですか?

午後イチで清和の仕事が入ったので、

直接向かう事にしましたという事で話合わせて下さいね。

村上さんには、同じ理由で早くなる事の

電話を僕の方から入れておきますので・・・・

「あと、今日暇ですか? 飲みに付き合って下さいよ。
山口さんと飲みたいので、もちろん御代は割り勘でいいっすから・・・・・」

陸は少し考えてから、予定が無い事を頭で考えてから
「いいよ、俺もナオ君と飲みたい気分だから!じゃあ、頼むね!ありがとう」
「任せて下さい。うまく、やっときますから」
陸は電話を切り、電車に乗り込んだ。今日も多くの人で電車が溢れている。



陸は村上の会社へと向かった。
心の中で由美に会えると思いながら、
陸は駅の西口から外の世界に飛び出した。
人が多い、なぜこんなに人がいるんだ。
 陸は自分の故郷を思い出していた。陸は田舎育ちである
。陸は田舎がとても好きであった、
弟といつも隣の田んぼで夜まで遊んでいた。
隣の小川には、夏に鳴ると蛍が飛びとても
奇麗だった事を覚えている。
小川では多くの生き物が生息していた、
しじみも採れ、晩御飯でよく母親が作ってくれたものだ。

 そんな陸に転機が訪れたのは、小学校の3年の時だった。
突然両親が事故でいなくなってなってしまった。
陸は幼い弟と、両親の死に顔を見つめ、立ち尽くしている
自分自身の姿をなぜか遠くから見ている姿をふとした
瞬間に脳裏に映像化される瞬間がある。

 陸は両親が大好きであった。父も母も陸に愛情を
持って接してくれているのが、肌で痛いほど
感じる事が出来ていたからだ・・・・

 「かあさん・・・」
陸は呟いた、最初に出てくるのはやはり母親の顔である。
申し訳ないが父親はその後に出てくるか出てこない時もある。
「俺、かあさんに何もしてあげられなかったね。」
「もっと、たくさんの事をしてあげたかった」
「目の前でありがとうって、伝えたかった」
陸は両親がいなくなった夜の事を思い出していた。
弟が悲しそうな顔をしているのを陸は感じていた。
おばが
「お父さん達は遠くに行ってしまったけど、
いつもあなた達を見てるわよ」と言っていたが
陸は全てを理解していた。もう二度と目の前に現れる事が無い事を・・

遠い世界に行ってしまった事を、
陸はその日は溢れ出そうな感情を全て押し殺して
一日をすごしていた。弟をただ強く抱きしめたまま・・・
 
弟が寝た事を確認した後、そんな陸も夜になると、

もうどうする事もできなかった。

親族にばれない様に、家から夜こっそりと抜け出し、

弟といつも一緒に遊んだ裏山のある場所に気がつけば向かっていた。

 そこは2人だけの秘密基地がある場所だ、昔の防空壕跡だろう。

その場所には陸にとってかけがえの無い宝物がたくさんしまってある。

数少ない写真もそこには数枚飾ってあった。

陸はその写真を見ながら、

「お母さん、お父さん・・・・・・・・・」

陸はそう呟いた瞬間・・・・・・・・・

 もうこらえる事など、何一つ出来なかった。何一つ・・・・・

全ての感情がむき出しとなり全てをさらけ出し、泣き叫んだ・・・

「僕、どうすればいいの?これから?どうすれば・・・・・」

「ねえ、答えてよ・・・・・・・」

「誰か教えてよ・・・・・」

「おかあさん、おとうさん」

「ごめんなさい、もっといい子にするから、僕の前に帰って来て・・」

「お願いだから・・・・」

「帰って・・」

陸の頭の中には両親との思い出がとめどなく溢れ出した。

陸は全てを理解している・・全てを

「ごめんなさい、もっと僕をしかって、ちゃんと直すから、ちゃんとするから」

「だから・・もっと」

「ごめんなさい・・・」

「おかあさん、おとうさん、どこにも行かないで・」

「僕のそばにいて、もっと抱きしめてよ」

「いい子にするから」

「僕の近くにずっといるっていってよ」

「ねえ、お願いだから・・・・」

小学生の陸には、次から次から溢れ出す感情を抑える事など出来なかった。

ただひたすら、両親に届く事を祈りながら叫び続けた。

「神様どうか、返してください。」

「この場所に、僕の大切な人を・・」

「何でもします。何でも・・・・」

「あなたの望む事をなんでもしますから・・・・」

「お願いですから、僕の大切な人を返して下さい。ちゃんとするから・・お願い・・」

「神様助けて下さい・・」

陸は基地の中でどうしようもない、悲しみと怒りと祈りをぶつけながら・・・・

「行かないでよ、どうして・・・・」

「なんで死んじゃうんだよ!!」

「お願いだから、帰って来てよ、ねえお母さん・・・」

陸にはもうどうする事も出来なかった、

このまま死んでしまいたい衝動にかられていたが、

どうしていいかすら、今の陸にはわからなかった。

 ただ何かを信じて泣き叫ぶ事しか・・・・・・・・・・・・・

数時間して家の方に歩いていると、家の方が騒がしい。

陸の元に隣の家の大輝が掛けよってきた。

大輝は年は離れてはいるが、いつもいろいろな遊びを陸達に教えてくれる

陸にとってアニキのような存在の人だ。

「どこにいっとんたんじゃ??みんあ心配・・・・・」

大輝は陸の顔を見て、全てを察したのだろう。言葉を止めた。

大輝は陸を強くそして優しく抱きしめた。

「陸君、がまんしんさんな、ワシがおってあげるけ」

その瞬間、陸の押し殺していた感情が一気に噴き出してしまった。

「大輝くん・・」

「僕どうしたら、いいの?」

「どうすれば、お母さん達は戻ってくるの?」

「お願いだから、帰ってきてよ・・・」

「お願いだから・・・・・」

大輝は陸を抱しめた、ままその場から動こうとしなかった。

遠くから大人達が近づいてくる。

陸は感情をもう押し殺す事が出来ず、

だた・・だた・・願いが届く様に泣き叫んでいた。


2/12
「かあさん、ありがとう、ありがとう」

「僕はかあさんの望んでいた、人間になれたのだろうか?」

陸はそう呟きながら、人目を避け溢れ出る涙を拭って、由美の会社に向かった。

陸はふとまたイヤな視線を感じ取った。
辺りに目をやると、多くの車が行き交いしている。ふと上の方に目をやると
歩道橋から、ある人物が飛び込んできた。こちらを見つめている。
全身の血が一気に駆け巡る感覚を覚えながら、体全体が何かを感じとっている。
その人物はこちらをジッと見たまま、動こうとしない。
陸は走り出した。「誰だ、あいつは?」
「あいつは確か・・・・」
頭が熱い、全身が何かを感じとっているが、
思い出す事が出来ない、陸は確かに感じていた
大きな力を・・・・・・・・・・
 陸は歩道橋を駆け上がった。歩道橋の上には目に飛び込んできた人物がいる
陸はゆっくり近づいた。一瞬なにかが頭の中を通り過ぎた感覚に囚われた。
 陸はさらに近づいた。ゆっくりと・・・・
その人物の後側に周り、陸はその人物をじっとみつめた。
その男は何かを感じとったかのように、陸の方に少し体を振り向けた。
「違う、さっきと!!??」
陸の頭の中は混乱した。さっき下から見た人物と違う
「なぜだ?おかしい?」
その人物は陸の方を少しだけみると、怯える顔をしてすぐにその場を立ち去っていった。
陸はその場に立ち尽くした。
「俺はおかしいぞ!!」
「どうなってるんだ?」
「何が何んだか解らない?」
陸は改めて、昨日の夢の出来事を思い出そうとした。
「あいつだ!!」
「俺がさっき下から見た人物はあいつだったはずだ、何故だ?」
陸は自分の中で起こっている確かな異変に、寒気を覚えた。
「何かが起こっている?何かが?」
陸は必死でその何かを思い出そうとするが、思い出せない。
陸はその場に立ち尽くした。
時間が過ぎ
「ヤバイ、行かなくては」時計に目をやると時刻は10時をしめている。
陸は言葉には出来ない感覚を覚えながら、由美の会社に向かった。

「お世話になります。トミタ商事の山口です」
陸はドアを開けながら、大きな声で言った。
目の前が一瞬消え去った。由美が陸の前に飛び込んで来た。
「お待ちしておりました、村上がお待ちしております。こちらへどうぞ」
村上の元にいく途中に人がいない事を確認してから、由美が言った
「何してたの?遅いじゃないの?ナオ君から電話があったから村上さん待ってるよ!」
「すまん、ちょっと・・・・・」
陸は答える事が出来なかった。陸は早歩きで村上の元へ向かった。
「遅かったね、山口君」
「すいません、乗り過ごしてしまいまして・・・・」
陸はとっさにうそをついた。
「結構待ったよ!!」
村上は不機嫌なふりをしている事を陸は感じ取った。
そういえば、今日は仕入れの件についての話だ。
「またか・・・・」
陸は心の中で呟いた。村上のいつもの手だ、値段の話の時はいつも相手の揚げ足を取って
値段を安くしようとする。
「すいません、村上さま。」
陸は由美から聞いた情報を思い出していた。
以前より用意していたある物を村上に差し出しながら、
「そういえば、息子さま明日お誕生日だそうですね?」
「この前、歩いていたら息子さまにと思いまして・・・・」
村上は言葉に詰まりながら答えた。
「あ。。あ」
「確か今年小学生ですよね?」
村上がうれしそうな顔に変わっている。
「ありがとう、山口君、けどこれは貰えないよ。」
「大丈夫ですよ、僕からの個人的な物ですし、いつもお世話になってますから、
それにこれお菓子ですから、よかったら食べて下さい。」
「おいしくなかったら、言って下さいね。次は気を付けますから。」
「そうか・・・・」
陸はプレゼントを机の上に置き、続けた。
「一応今日仕事なので、すいませんが終わらせておいて下さいね。」
「この前の値段の件ですが、私、山口がんばりました。」
「この前、私が申し上げたお値段で上司の許可を貰ったので、あとは私にお任せ下さい」
村上はなんともいえない顔を一瞬したが、やられたという顔をして
「そうか、じゃあよろしく頼む。」
陸は間を空けずに
「ありがとうございます。」
書類を差し出し、村上に差し出した。
「申し訳ないですが、一応こちらに、村上さまのサインを頂けますか?」
「ああ、わかった」
陸は村上がサインをする仕草を確認し、話題を別の事へ振った
「私は子供がいないので、あまりわかないので教えてもらいたんですけど、
やっぱり、息子さまとかいるとスッゴイ可愛いですか?」
村上はサインをしながら、うれしそうな顔をして
「そりゃあ、可愛いぞ、言葉には出来ないぐらい。」
陸は村上の顔をみて、自分の父親と重ね少しだけ幸せを感じ取っていた。
陸は村上がサインを終えたのを確認して、いつもの世間話に耳を傾けた。

「それでは、今日はこれで失礼します。今後もよろしくお願いします。」
陸は村上に頭を下げると、由美を確認してからその場を立ち去った。
由美の会社を後にした。
陸は表す事の出来ない感覚に悩まされていた。
「さっきのは、なんだったんだ?」
突然陸の携帯が鳴り響いた。
メールが入っている。
「陸?大丈夫?今日の陸なんか変だったよ?」
由美からだった。何かを感じとったのだろう。
「ねえ、今からお昼なんだけど、一緒にいられない?」
陸は時計に目をやった。時刻は11時56分を示している。陸は予定を確認してメールを送った
「いいよ、俺も由美と一緒にいたいから・・・いつもの所で待ってるよ。」
予定の場所に向かいながら、北村の携帯に電話をいれた。
「山口だけど・・・どう?」
「お疲れ様です。ばっちりっすよ。たぶん、ばれてないはずです。」
「今どこですか?」
「ああ、今出た所」
「え!時間掛かりましたね。また、村上さんの世間話が長引きましたか?」
「ああ!」
陸はとっさにうそをついた。
「で、商談はどうでした?」
「大丈夫、うまくまとまったよ。ナオ君助かったよ。ありがとういろいろ。」
「とんでもないですよ、山口さんにはいつもお世話になっていますから・・・、
まだ部長会社にいると思いますから連絡入れておいた方がいいと思いますよ。」
「そうだな、ありがとう」
「あ、そうそう、山口さん確認ですけど、午後イチで清和の仕事が入ったので、直接向かう事になってますから、話合わせておいて下さいよ。それでは、今日の夜お願いします。」
北村は楽しそうに電話を切った。陸は会社に電話を済ませると由美を待った。





「陸!!待った?」
由美が走りよってきた。陸は由美を見るたびにその姿に見入ってしまう。最近はますますその傾向が強いような気がする。陸は由美を心の奥底から愛している事実を自分では知っていた。
「いや待ってないよ、ちょっと考え事をしてた。」
「何を?最近の陸ちょっと変よ?大丈夫?何かあったの?」
陸は今日みた夢を考えていたが、由美にその事実を話すべきか迷ったが・・・・・
「最近、夜あまりねれないかなね?」
陸は話す事をやめた。
「どうして?」
「なんとなくね。」
「ふーん、変なの?大丈夫」
「ありがとう、季節の変わり目だからかもね。さあ、どこ行く。」
「私、陸といっしょにいられるなら、どこでもいいよ。」
「あ、けど会社の近くはダメよ。見つかったらめんどくさいから。」
由美はおどけながらそういい、陸の腕を摑んだ。
「誰かに見られたどうする?」
「二人でいる所、見られたらどちらにせよ、ダメだからいいの。」
改めて陸は由美を本当に愛しているという事を確信した。由美の為なら例えどんな事があろうと守れるだろう。陸は由美の顔をみつめ
「愛してるよ」
「え、何?」
「俺はお前を本当に愛してる」
「どうしたの急に・・・」
由美は嬉しそうに、呟いた。
「ふと、思ったんだ。俺、由美の為だったら全てを犠牲にしてもいいって・・・」
突然、陸の全身にこの前感じた嫌な感覚を覚えた。
「ありがとう陸、私も好きよ、陸を愛してる。」
「陸???」
陸は言葉を失った。「まさか、ありえない・・・・」陸は心の中で呟いた。
「ねえ??陸ってば??」
「ああ、すまない、由美があまりにも可愛いから、言葉を一瞬失ってしまったみたいだ。」
陸はとっさにうそをついた。
「本当に?陸やっぱり最近少し変よ?そうだ、今日は陸の好きなお鮨にしよう。私がおごったげるから、お鮨食べて、元気になろう。その前に陸ちょっとしゃがんでみて。」
由美は陸の唇にキスをした。陸は少し動揺したが、悟られないように辺りを見回した。
「さあ、山口君、行くわよ。」
由美は陸の腕を引っ張って人ごみの中を歩いていった。
「ところで陸、今日の夜は会えない?」
「なんで?」
「陸といっしょにいたいの、ダメ?」
「ごめん、今日はナオ君と約束がある。」
「え〜、また!!??」
「また〜って、最近は飲みに言ってないよ・・・」
「この前行ったじゃない!」
「そうだっけ!!??」
「そうよ!!」
「今日はナオ君が話があるっていうからさ、明日の夜ならいいよ。」
「わかった、それじゃあ、明日だったらいい??」
「もちろん、明日は空けとくから」
「絶対よ!!最近ね、私・・・・、やめとく明日話すね。」
「何?」
「明日ね、さあ食べにいこう・・・」



「お疲れ様です」
「お疲れ様でした。山口さん」
北村が近づいて来てた。
「北村君、部長は??」
「ああ、もう今日は帰ったみたいですよ。直接帰るって連絡がありました。」
「そうか・・・」
陸は少しほっとした。どうやら、うまくいったようだ。
「ありがとう、ナオ君、助かったよ。」
「結果オーライでしょ!商談も巧く行きましたし、清和の方もばっちりでしたでしょ、部長喜んでましたよ。やっぱり山口は頼りになるって・・・。」
「いいよ、ナオ君そんなヨイショしなくても・・・」
「本当ですって!!」
北村は楽しそうに話していた。
「さあ、山口さん、手伝いますから、さっさと終わらせて飲みにいきましょう。」
「いつも、ありがとう。」
「どうしたんですか、急に、気持ち悪い!!何すればいいですか?」
「ああ、悪いんだけど、これ頼むわ。」
「お任せ下さい。」
陸は北村に感謝しながら、何か表す事のできない感覚に囚われていた。

「聞いて下さいよ。最近僕の恋してるんです。」
「誰に?」
「コンビニが会社の近くにあるじゃないですか!!そこのレジの子です。」
陸は頭の中でピンと来た。
「ああ、あの子か?」
「どうすれば、いいですか?僕?性格もよさそうなんですよね?僕、恋してます。」
北村は少し酔いがまわっているように、陸は感じた
「性格は付き合ってみないとわかないよな!」
「いや、あの子は絶対いい子です。僕は知ってます!」
陸は少しおかしくなった。北村は陸からみてもいい男だ。できれば、協力をしてあげたい。
「山口さんは、どうやって由美さんを手に入れたんですか?」

由美と付き合うようになったのは3度目のデートの時だった。
陸は由美と会うたびに、由美の魅力に引かれていった。
一番驚いたのは、由美の考え方に感じる事があったことだ。
今まで陸は、女性と一緒にいて仕草や姿に惹かれる事はあっても、
その女性の考え方に引かれる事はなかった。
知れば、知るほど由美の魅力に惹かれていった。
3度目のデートの時に、由美のマンションの前まで由美を送って行き、
別れ際に切り出したのだ、
「また、今度会ってくれるかな?」
「陸君がよかっったら、もちろんいいよ。」
「本当!!」
「もちろんよ、私も会いたいし・・・・」
「それじゃあ、また今度ね。」
「うん、陸君また連絡してね。」
由美がマンションに入ろうとした時に陸は由美の手を掴み、思い切って切り出した。
「村上由美さん!!もし、よかったら付き合って下さい。必ずあなたを守りますから、僕の彼女になって下さい。」
由美は少しなみだ目で答えた
「うん!うん・・・」
由美と正式に付き合い始めたのは、それからだ。

「いいな幸せそうで・・・・・」
「ナオ君、はっきり言っていいか!俺は間違いなく今、幸せだ!誰がなんと思うと!!」
「いいな、私もそんな恋愛がしたいですよ!!ああ、俺も付き合えないかな!で山口しゃんは由美さんの事好きなんですか?」
陸は程よい酔いに包まれながら、答えた
「ナオ君、当たり前の事を聞くな!俺は由美をずっと愛している!」
突然陸の全身に寒気が走った。昼間由美と一緒の時に感じた感情だ!
「まさか、そんな事があるわけない・・・」
「山口しゃん!どうしたんですか?山口しゃん!??」
「ああ、すまない少し考え事を・・・」
陸はするどい視線を感じた。陸は辺りを見渡した。
「また、あいつだ・・・」
老人のような格好をした、人物が陸をずっとみているような感覚にとらわれていた。
しかし、陸は誰だか思い出せない
「俺はあいつを知っている、もしかしたらナオ君も知っているかもしれない」
陸は心の中でつぶやきながら、北村に問いかけた
「ナオ君、お前の斜め後ろの向こうの方に座ってこっちを見ている奴見たことないか?」
「だれっすか??」
「ナオ君の後ろのだいぶ向こうの奴だよ、最近よく見かける気がするんだ・・・
「え!!?・」
北村は後ろを振り返った。陸の全身に味わった事のある嫌な感じが全身を駆け巡っている。
陸はテーブルのメニューに目をやった。北村が突然
「夢に出てくる奴ですよ・・」
陸は全身の血が無くなる感覚がした。
「なんてね!!あの人うちの会社のビルの清掃の人じゃないですか??山口さん?ねえ山口さん?」
「そうだ!やっぱりあいつだ!」
「そうでしょ!清掃の人でしょ!」
「いや!違う、夢の中に出てくる人物に間違いない!」
「山口さん!酔ってるんのですか?何いってるんですか!だから清掃の人ですって・・・」
陸は再度その席を見つめた。
「まただ、違う」
「え!違いますか。」
「いや、確かに掃除の人かもしれない」
「でしょ!!」
陸は北村に全てを話すことにした。今まで見た不思議な現象や毎日見る気がする夢の事を・・・
「それ、マジッスカ??何ですかそれ・・・なんかやばくないですか??」
陸は自分の中に起こっている確かな変化に違和感を感じながら、北村に全てを話した。
「そんな事があるんですかね、何か嫌な感じですね。それ毎日見るんですか?」
「ああ、そんな気がする」
「山口さん最近働き過ぎなんじゃないですか?明日は会社、休みですし、今日は飲みましょう。そしたら忘れますよ」
陸は確かな変化に何かを感じながら・・・
「だよな、飲もう今日は・・・」
「付き合いますよ今日はとことん・・・・・」


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