テキパキとあたしのヘアをこなす中で彼はあたしに話しかけてきた。
「学校どう?ミサちゃんて、看護学生だよね?」
「・・・うん。微妙っすね。実習きつくて。最近なんで勉強してるのか分かんなくなってきちゃったし・・・」
看護学生になって約一年半。 実は最近じゃなく、もっと、ずーっと前から不思議と疑問になっていた。
なんで勉強してるんだろう、と。
得体の知れない義務感と、責任を感じながら、心は正直に疑問を解いていた。
しかし答えは出ず、月日は過ぎ行く。
迷いさまよい・・・わたしはキャバクラへと足を運ぶ。
正直、もう辞めるべきだと分かっていた。
中途半端な気持ちのモノは全て取り除いてしまわなければいけない、と。
しかし辞められなかった。 止められなかった。 学校も。キャバクラも。
あたしは猛スピードで走る車のようだ。 ブレーキのない・・・車のようだ。
あたしはアクセルの踏み方しか知らなかったんだ。
「俺さ、勉強って知りたい、学びたいって気持ちから始まるものだと思うよ。」
浩平さんがあたしにそっとつぶやいた。 柔らかな微笑みを見せながら。
そしてまた、返答が出来ないあたし。
いつもなら、誰のどんな言葉でも受け止めて返答できるのに。 今日は、浩平さんがあまりにも あたしの心に真っ直ぐに入って来るものだから、言葉が出ない。
「はい。出来ました!どうかな?」
いつの間にかあたしの髪はお姫様みたいにかわいらしくまとめられていた。 クルクルに巻かれた髪を、襟足だけ残してアップにしてあった。 とてもかわいい。
さすが浩平さんだ。
鏡越しに彼を見ながら、 「ありがとう。すごい気に入った。かわいいね。」 そう返答し、部屋を後にした。
背後から浩平さんが 「いってらっしゃい。」と言ってくれているのが聞こえたが、
あたしは振り向かずに「はぁい」と答えた。
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