今日は金曜日。 あたしは毎週金曜日はだいたい出勤している。 週末は客が多く、忙しいけど、その分キャストの子も多いから楽しい。
今日はオープンラスト(通称オーラス)だから、店が始まる1時間前には店に入らなくちゃいけない。
けどあたし・・・やっぱり遅刻魔。 着いたのは店が始まる十五分前。
十五分で着替えてヘアメイクやってもらって・・・。 間に合うかなぁ。あーダルイ。
みんなへのあいさつを軽く済ませてあたしは更衣室へ入った。
今日は学校で解剖生理のテストだった。
昨日はほとんど徹夜で勉強してたから、今日の出勤は本気で来たくなかった。 だから直前まで休むか悩んでて、ダラダラ化粧をしてたあたし。
でもいつもあたしは悩みながらも出勤する。
まるで引き寄せられるように。
まるで、使命かのように・・・。
今日あたしが選んだドレスは黒。ってゆーかいつも黒。 だって体を少しでも細く見せたいんだもん。 あー痩せたい。
これがあたしの口癖。
分かっていた。
自分の傷だらけの心の心理は。
上京してもう一年半になるが、一年前からあたしは過食嘔吐を繰り返していた。
何かを忘れたい一心で食べ続け、何かをぶちまけたい一心で吐き続けていた。
負けるもんか、と意地をはり、一方では助けて・・・と 小さくつぶやく自分の心の叫びは
あたしが一番良く知っていた。
とにかく痩せたかった。
今もその気持ちであたしの心はいっぱいだった。
「ミサ。着替え終わった?ヘアメイクどうする?」
修ちゃんが更衣室のドアの外から話しかけてきた。
「あっヘアやりたい!今行くから浩平さんに言っておいて〜」
やばっ・・・早く着替えてヘアメイクしてもらわないとお客さん来ちゃうよぉ。
早くしなきゃ。早く。もっと早く・・・
焦る気持ちとは裏腹に、あたしの手足が震えだした。
あっ。また震えてきた・・・ ・・・でも今は気にしていられない。早くしなきゃ。
ドレスを身にまとい、時計とブレスレット、それからいくつものリングとピアスとネックレスを付けて、あたしは更衣室を出た。手にはシャネルのポーチを持って。
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