・・・かすかな声が聞こえる。
・・・聞き覚えのあるような。
・・・お、んなか?
爽やかな日の光とは裏腹に俺の気分は最悪だった・・・。寝汗がひどい寝間着姿を身に纏い、俺はその光を毛嫌いするかのように目を手で覆った。 少し後頭部の痛みが気になるし、今日は変な夢まで見てしまった。
「一体なんだったんだ?今のは?」
尋常じゃない寝汗の量からして、相当怖い夢でも見たのか?それともただ単に疲れていただけだろうか?
「まぁ夢なんていくら考えてもしょうがないじゃないか」
俺はそう思い、まだ重たい体を起こした。
俺の体は意外にもすんなり起きてくれたが、後頭部の痛みがまだ残っていた。
「昨日飲みすぎたか?」
そういえば昨日は行きつけのバーで飲んだ記憶があるな。
確か名前は・・・。
ダメだ。覚えてない。そもそも名前を聞いたかどうかも覚えていないし、別に無理して思い出す必要もないだろう。
そんなことよりも、早くこの姿をどうにかしたほうがいいな
俺はそう思い、シャワーへと向かった。
「ふぅ〜。」
おもむろにため息をつく俺。 一体なぜ?というある種の疑問がやはり消えなかった。 こんなに寝汗をかき、頭痛もある。普通なら「二日酔い」で片付けてしまうが、残念ながら昨日はそれほど飲んだ記憶もなければ、俺は「二日酔い」というものに一度もなったことが無い。 それだけに今の状況が不安でしかたなかった。
「やはり疲れか?」
そんな思いを流れ落とすかのように俺はシャワーのコックを捻った。
シャワーを終えた俺は頭を拭きながらリビングへと向かった。 その状態のままでソファーに座り、テレビをつけた。テレビではちょうど朝のニュースが流れていて、その風景は平凡な日常の色を一層濃くしていった。 俺は冷蔵庫からミルクを取り出し、再びソファーに座りながら昨日の出来事を思い出してみることにした・・・。
そういえば俺の自己紹介がまだみたいだったな。
俺の名前は橘亮二(たちばな りょうじ)現在28歳の独身だ。 職業は、これでも一応「探偵」をやってたりする。 探偵といってもそのほとんどが人探しで、これが結構大変だったりもする。 ちなみに俺は10歳までの記憶がほとんど無い。というか全く無い。理由は分からないけど、俺はあまり自分の過去にはこだわらない主義なんで。 そんなことから生まれた俺のポリシーが「今を生きる」ってことかな? とまぁ。なんだか変な自己紹介になってしまったな、話を元に戻そう。
昨日の事を思い出す途中だったか?
昨日は特に大事な予定も無かったので、気晴らしに行きつけのバー「night sky」へと顔を出すことにした。そして、マスターや馴染みの客と話したりして・・・。
あの男に会ったんだ。
バーの片隅にいる彼を見つけた俺は、何かに引き寄せられるような感じで近づいてった。そうあれは不思議な感じだった・・・。
外見は確か、がっちりしてて顔には少し日焼けの跡と白い髭。ということは歳は結構いってるな。名前くらいは聞いといておけばよかったか?
普段なら何事もなく過ぎることなんだが、頭のどこかで引っかかってる何かがある。
「ふぅ〜。」
俺は深いため息をついて天井を見上げた。
天井を見つめながら一つ思い出したことがあった。
そういえば今日は大事なクライアントとの打ち合わせの日だった。
「やべぇ!!」
俺は急いで身支度を整えて家を後にした。
胸に引っかかる気持ちを隠しながら・・・。
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