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作品名:フラッシュバック 作者:黒豹

第1回   1
・・・かすかな声が聞こえる。

・・・聞き覚えのあるような。

・・・お、んなか?


 爽やかな日の光とは裏腹に俺の気分は最悪だった・・・。寝汗がひどい寝間着姿を身に纏い、俺はその光を毛嫌いするかのように目を手で覆った。
少し後頭部の痛みが気になるし、今日は変な夢まで見てしまった。

「一体なんだったんだ?今のは?」

尋常じゃない寝汗の量からして、相当怖い夢でも見たのか?それともただ単に疲れていただけだろうか?

「まぁ夢なんていくら考えてもしょうがないじゃないか」

俺はそう思い、まだ重たい体を起こした。

 俺の体は意外にもすんなり起きてくれたが、後頭部の痛みがまだ残っていた。

「昨日飲みすぎたか?」

そういえば昨日は行きつけのバーで飲んだ記憶があるな。

確か名前は・・・。



ダメだ。覚えてない。そもそも名前を聞いたかどうかも覚えていないし、別に無理して思い出す必要もないだろう。

そんなことよりも、早くこの姿をどうにかしたほうがいいな

俺はそう思い、シャワーへと向かった。

「ふぅ〜。」

おもむろにため息をつく俺。
一体なぜ?というある種の疑問がやはり消えなかった。
こんなに寝汗をかき、頭痛もある。普通なら「二日酔い」で片付けてしまうが、残念ながら昨日はそれほど飲んだ記憶もなければ、俺は「二日酔い」というものに一度もなったことが無い。
それだけに今の状況が不安でしかたなかった。

「やはり疲れか?」

そんな思いを流れ落とすかのように俺はシャワーのコックを捻った。

 シャワーを終えた俺は頭を拭きながらリビングへと向かった。
その状態のままでソファーに座り、テレビをつけた。テレビではちょうど朝のニュースが流れていて、その風景は平凡な日常の色を一層濃くしていった。
俺は冷蔵庫からミルクを取り出し、再びソファーに座りながら昨日の出来事を思い出してみることにした・・・。

 そういえば俺の自己紹介がまだみたいだったな。

俺の名前は橘亮二(たちばな りょうじ)現在28歳の独身だ。
職業は、これでも一応「探偵」をやってたりする。
探偵といってもそのほとんどが人探しで、これが結構大変だったりもする。
ちなみに俺は10歳までの記憶がほとんど無い。というか全く無い。理由は分からないけど、俺はあまり自分の過去にはこだわらない主義なんで。
そんなことから生まれた俺のポリシーが「今を生きる」ってことかな?
とまぁ。なんだか変な自己紹介になってしまったな、話を元に戻そう。

昨日の事を思い出す途中だったか?

 昨日は特に大事な予定も無かったので、気晴らしに行きつけのバー「night sky」へと顔を出すことにした。そして、マスターや馴染みの客と話したりして・・・。

あの男に会ったんだ。

バーの片隅にいる彼を見つけた俺は、何かに引き寄せられるような感じで近づいてった。そうあれは不思議な感じだった・・・。

外見は確か、がっちりしてて顔には少し日焼けの跡と白い髭。ということは歳は結構いってるな。名前くらいは聞いといておけばよかったか?

普段なら何事もなく過ぎることなんだが、頭のどこかで引っかかってる何かがある。

「ふぅ〜。」

俺は深いため息をついて天井を見上げた。

 天井を見つめながら一つ思い出したことがあった。

そういえば今日は大事なクライアントとの打ち合わせの日だった。

「やべぇ!!」

俺は急いで身支度を整えて家を後にした。


胸に引っかかる気持ちを隠しながら・・・。


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