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作品名:トラリーノ 作者:

第2回   カズノリ編
「カズノリ編」

会いたいというしつこいメールにあたしはうんざりしていた。

こっちの気持ちも考えろ、なんて心の中で叫ぶ。

もちろんカズノリには伝わらないんだから、無意味にもほどがある。

カズノリは23歳で地元のサッカーチームのレギュラー選手。

よくそのことを自慢してくるが、実際あたしはサッカーには詳しくないし

興味も無い。だからサッカーの話はよく流していた。

どうせ、会ってもつまらないんだろうなー・・・。

そんな思いがあったから1ヶ月以上もメール止まりだったのかもしれない。

特にピンと来ない男であったが

気づかないうちにメールが続いていた、不思議な奴だった。

あたしが面倒だからメールを止めても、次の日には何事も無かったように

メールが来る。

あたしはそんな都合のいい相手に、少しだけ満足していたのかもしれない。

1ヶ月以上経つと、彼の申し出を断るのがつらくなってきた。

こうも毎回毎回頼まれると、押されて引き受けてしまう。

あたしはこういう性格だ。

ついにあたしが「会ってもいいよ」というメールを送る日が来た。

カズノリがすごくテンションの高いメールを送ってきたのに笑った。

この笑いは、カズノリのテンションに対してではなく

バカな男をさげすむ笑いだった。

次の週の日曜日のお昼、あたしは待ち合わせのコンビニに向かった。

なんとも色気が無い待ち合わせ場所である。

コンビニに着いて雑誌を読んでいると携帯がDaddy Yankeeの着信を鳴らす。

電話に出ると、カズノリだった。

外に車を止めてあるから、ということだった。

外を眺めると、確かに一台だけ車が止まっている。

白くて大きくて、ちょっと高そうな車だった。

あたしは、少しだけ不安になりながらも、車に乗り込んだ。

カズノリはあたしの顔を見てニコニコしながら

「ソフトクリームを食べに行こう!」と言った。

こんな寒い日に何で!?と思ったが、言わなかった。

彼の車は滑り出すように動き始めた。

車の中は彼が好きらしい音楽がガンガンかかっていたが、どれもあたしの

好きなものではなかったので、カズノリの話とともに聞き流す。

30分くらいで着く、という話だったのだが1時間経っても着く気配が無い。

あたしはついにカズノリに

「カズノリ・・・道分かってる??」と聞いた。

彼はちょっと照れた風に

「実は・・・分かんないです;;」と言った。

あたしはそんなカズノリをちょっとだけ可愛いと思ったが、

分からないことを分からないと言えない性格に失望してしまった。

別に道を知らないからと言って、彼を軽蔑する気はない。

知っているフリ、つまり嘘をつかれているのが嫌だったのだ。

彼はカーナビを着けて、何事も無かったように車を発進させた。

ついたのは可愛らしいソフトクリーム屋さんだった。

季節のフルーツがソフトクリームの上に乗っているらしい。

あたしが頼んだのはブルーベリーのソフトクリーム。

ソフトの上には生のブルーベリーがゴロゴロ転がっていた。

カズノリが頼んだのは、宇治抹茶の抹茶抜き。

抹茶は嫌いだけど、小豆は好き、という変わった味覚の持ち主だった。

二人はお店のテラスのようなところでソフトクリームを食べた。

あたしが彼に自分のブルーベリーソフトをあげると、とても嬉しそうだった

のがとても印象的だった。

帰りの運転はさすがに分かったらしく、スイスイと30分で帰り着いた。

最初に待ち合わせたコンビニに着くと

なんだかさっきまでの笑いながらのドライブが、夢だったように思えて

ちょっとだけ寂しかった。

カズノリもそうだったらしく

「また遊ぼうね?」っと言ってきた。

あたしは人を好きにはならない。

けど、人に好意を持つことは許されるだろうか。

あたしは、あたし自信に問いかけた。

出会い系で2人目のカズノリだったが、1人目と比べると

段違いにいい人だった。

結局はいい人止まりなのかもしれない。

しかしカズノリとはこれからも連絡を取り合って行こうとおもう。


あたしは車を降りて彼を見送りながら、携帯でサイトの画面を出していた。


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