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作品名:彼女のキモチ、彼のオモイ。 作者:てん、

第7回   ―岡野良SIDE― (1)キモチ
彼の事が大嫌いだった。
怖くて、怖くてたまらなかった。
その彼が私を好きだと言った。
―重なった唇―
彼に告白されたあの日・・・・・私は逃げ出してしまった
抱きとめられたあの瞬間、
彼の優しさを感じて安心してしまった自分に気づいてしまったから・・・
彼の事が大嫌いなはずなのに・・・・
自分のキモチがわからない
嫌いで嫌いでたまらない気持ちともう一つ・・・・・このキモチは?
心の中でムズムズするこの痛みは何・・・・・?
今、分かるのは一つだけ
・・・・・・・彼には会いたくない・・・・・・

□□□□□□□□

次の日、彼は門に立っていた。
彼の姿を見つけたとたん私の体はそれとは逆の方へ走っていた。
彼には会いたくない。彼の強い心に縛られそうで怖いから。
・・・・・・・・・彼から逃げたかった・・・・・・・・のに・・・・
私は結局、彼に捕まってしまった。
「・・・・・好きだ・・・・お前が・・・・」
―彼の二度目の告白―
「お前が俺を本気にしたんだ・・・・・・・・・・・・・もう・・・・・・・・・・・お前を俺のものにするまで止まらない」
―抱きしめられた体―
「俺からは逃げられない」
―彼からは逃れられない―
そして二度目の口付けが交わされた
それは、まるで契約・・・・・・・
彼の腕が、体が、心が、私を拘束する
でも、なぜ?
何故、あなたが辛そうな顔をするの?
辛いのは私なのよ?
・・・・・・・あなたが分からない・・・・・・

□□□□□□□□

それからの私は彼の言いなりだった。だって、気づいてしまったから
彼は私が従順であればあろうとするほど傷ついた顔をする。
笑わない私を辛そうに見つめる。
彼に従うことで私は抵抗していたのだ。
何より、そうすることで身も守っていた。
実際、彼はあの時から私に触れるのを避けている。
手が触れるだけでも彼は過敏に反応して私に謝る。
私を傷つけた事を彼が一番悔やみ、気にしていた。
それが一週間経ち二週間経ち夏休みに入っても彼は苦しそうで・・・・・
常に私に気を使い、大事に扱ってくれるけれど、その目は・・・、心は・・・・、辛そうだった。


彼からの願いは唯一つ『毎日顔を見たい』それだけだった。
もともと、本好きの私は学校が休みでも学院内の図書館へ通っていた為
彼の部活が終わるのを図書館で待つ・・・というのが夏休み中の日課になっていた。


いつのまにか彼に会うのも苦にならなくなっていた。
何故だろう・・・?
決して許す事など出来ないと思っていたのに・・・・
彼の事が大嫌いなはずなのに・・・・?


・・・・・・彼の言葉や仕草に優しさが溢れている・・・・・・
・・・・・・その優しさが私の心を溶かしていくようで・・・・・・
いつのまにか・・彼に対する憎悪や恐怖は・・・・薄れていって・・・・・
・・・・・・不思議な感覚・・・・・
・・・・・このキモチは何だろう・・・・

初めて芽生えた自分の気持ちと彼は私を傷つけたという事実が私を悩ます。

許せない・・・・・・許したい・・・・・・

彼が嫌い・・・・・・・・彼が・・・・・・・・・?

私はどうしたいんだろう・・・・・・
一つだけ確かなのは・・・・もう少し・・・・・・もう少しだけこのままで・・・・・

だけど、そんな日々も長くは続かなくって・・・・・・
彼は心が壊れてしまいそうなほどの苦痛に耐えていた。
そんな中でも精一杯私を守ろうとしていて・・・・・

もう限界だったのね?

□□□□□□□□

きっかけは―嫉妬―

私は彼から逃げ出してしまった。
あまりに痛々しい彼を直視できなくて・・・・・


彼の涙は二度目
・・・・・・・子供の頃・・・・・・・
―引越し前日に来た彼―
彼に会いたくなくて、居留守を使った私・・・
私がいない事を知った彼は玄関で泣いていた。
その涙が「ごめん」と言っていたけど、私は許すことが出来なくて
でもなぜか私の心に強く残った涙


いつでも、あなたの涙は優しいのね?
とめられない感情を精一杯抑えながら・・・・・・・涙で謝っていた・・・・・

切ないほど・・・あなたのオモイが伝わってきて・・・・・・
気がついたの・・・・・・これが・・・・このキモチが人を好きになる心。
不思議だね・・・・
気づいた途端・・・・すべて許す事ができたの・・・
そして知って欲しいって思ったの・・・
私のキモチはどうしたら・・・・・・・・・伝わる?
・・・・・・どうしたら・・・・・・

あなたを楽にしてあげられる?


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