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作品名:彼女のキモチ、彼のオモイ。 作者:てん、

第13回   ―岡野良SIDE― (1)呼吸
突然、突きつけられた現実・・・・・
女の子を抱きしめる彼・・・・・・

それは初めての感情だった・・・・・
こんなに人が妬ましく思ったのも、こんなにも悔しい思いをするのも初めてだった
それはきっと人ならば誰しもある感情で・・・だからこそ人は愛する事ができる
今まで人に興味がなかった私には芽生える事の無かった感情

なのに確かに今、私に根ずく胸の痛み・・・・・・・
きっと・・・これが嫉妬
自分でコントロールなんて出来ない想い
知らなかったの・・・・・・・
こんなに激しいものだったなんて
気づかなかったの・・・・・・・・
自分にこんな感情があったなんて
分からなかったの・・・・・・・
あなたへの気持ちがこんなにも強いものだったなんて
でも・・・・・・・・・・
もうすべてが手遅れ・・・・・・・・・・・・・・・
すべてが遅すぎた・・・・・・・・・・・・
彼はあの子を選んで・・・・・・・
私は選ばれなかった

じゃあ、この気持ちは何処にやればいいんだろう

やり場のない想い・・・・・

これが・・・・・・・・この恋の結末なんて・・・あまりにも悲しすぎる・・・・・・

□□□□□□□□

私が眼鏡を外すだけで、こんなに大事になるなんて思ってもみなかった
変な人たちには付きまとわれるし、初対面なのに馴れ馴れしく言い寄られるし
新物好きのこの学院の生徒達、新しい標的になるキッカケがこのメガネだったのだろう。
変化の乏しい退屈な毎日をおくっているお坊ちゃまとお嬢さま軍団は目新しい事が大好きだ
時には、新任の先生であったり転校生であったり色々だが、厄介なのはけっして長続きせず次々と標的が変わる事だ。カリスマ性があるランちゃんやマサは別にしても、新しい標的が決まるとファンクラブが出来るというのはいつもの事で、たまたま今回は眼鏡をはずしたのが私だったというだけの事なのだ。
この眼鏡も随分長く掛けていたから<はずした姿>が珍しく写ったのだろう。

にしても、つい最近まで(いや今も)人と話すのが苦手だった私にとって
この状態はキツイ・・・
目を合わさないように下を向いてるのがやっとで、
私には追い返す事や、上手に会話するなんて、まして旨く立ち回る事など皆無に等しい

彼らは私をおだて、もてはやし、様々な賛美を与えてくれるけれど・・・・・・・
彼らの言葉は上辺だけで心がない・・・
私が見て欲しいのは一人だけなのに、当の本人は無関心そのもので・・・
私を見る度、顔が強張って動かなくなるのだから傷ついてしまう。

でも・・・・・・・・・助けてくれた・・・・・・・
ファンクラブと名乗る男の子達に囲まれた時少し怖かったんだ・・・・
そしたら、いきなり彼が目の前に現れて・・・・・守ってくれた・・・・・・
すごく嬉しくて、少し照れくさくて、
なんか心の中が、ぱぁあ〜とバラ色になった気がして幸せな気分だったのに

あの子を見た途端、ドロドロが襲って来た・・・・・・・
胸はズキズキ痛いし、頭も心もグチャグチャだし最悪だ。

今までこんな事なかったのに・・・・
彼に懐(なつ)く特定の子なんていなかったのに・・・・・
彼だってあんな笑顔・・・女の子に対してあんなに心を開いているのは初めて見る。
気分が悪い。
もやもやしてる。
何かがつっかえて取れない。
そこに追い討ちを掛けるあの子の一言・・・・

「岡野さんは良君の事、好きじゃないの?」

「そんなこと人前で話す事じゃない」と言えばよかったのだろう
でも言えなかった・・・・・・・・
あの子、少し震えてて・・・・・・・今にも泣きそうで・・・・・・・
<ああ、この子も彼が好きなんだ>って思ったんだ。
私と同じようにこの子も彼が好きだから一生懸命なんだって・・・・

返答できない私を助けてくれたのは彼だったけれど・・・
彼からあんなセリフ聞きたくなかった・・・
「俺が勝手に告って振られただけ」
それは、もう彼の中で私の事は終わっているという意味で・・・・
なんとか「違う」って言おうとしたけど彼は言わせてくれなくて・・・・・

だから私も教室を出て彼を追いかけた。
彼に伝えたかった・・・・
<私のキモチ>


でも・・・・全て遅かった・・・・

私は居たたまれなくなってその場を離れた。
教室にも戻る気がしなくて、その後の授業は保健室でサボった。
ランちゃんもマサもすごく心配してくれたけど
誰かに話したら現実と認めてしまう気がして・・・・・怖かった・・・・・・・
どこもかしこもボロボロなのに教室では笑顔で話してる私がいて・・・
心が苦しい・・・・
水揚げされて苦しそうな魚のようにパクパクパクパク息ができない・・・


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