クリスマス 田島正理 著 メリークリスマス。 他事多き人生に置いて、明日の巧妙な手口の真っ直中で、僅かなりとも幸有らんと欲すれば、可憐に咲く花弁一輪にさえも優しさを覚えんかな。
幸多き人生を歩めども歩めず。日々の狂気に怯え、ガタガタと手足が震撼する私が居る。
一輪の花の美しさにも優るとも劣らぬ栄光の日々。語り尽くせぬ苦悩の連続は、怒濤の様に訪れてくる。
些細なるプレゼントにも怯え、恐怖するこの我が身の不甲斐無さ。
経った一錠の薬欲しさに人の道を踏み外し転倒し。メリークリスマス。 人の情けも踏み倒し、憐れなるかな男一匹。
人の温もりが欲しくて堪らず、人の温もりを自ずと蹴倒し、間抜け面。
賛美のど真ん中でも阿鼻叫喚。
阿呆・阿呆と、自ずから罵れば、自業自得と一笑に付される馬鹿・馬鹿。
暖かいお茶の一杯にさえ有り付けず、路頭に迷う無知無頼漢。
メリークリスマス。優しいお方の大切な記念日。
メリークリスマス。そんな人から見放され。地獄の烈火に晒されて、メリークリスマス。
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