カーテンがぴしゃ! と開いて、夏の昼特有の明るい光が容赦なく顔を照らした。 「もう、いい加減にしなさい麻子。今何時だと思ってるの?」 母の、昔よく聞いた声で目が覚める。 「いいじゃない、土曜くらい。休みなんだから」 私はまだベットの中にいたくて、横に立つ母から逃げるようにタオルケットを頭からかぶった。 「土曜でも寝過ぎです。12時過ぎてるのよ。起きなさい」 母は無情にもタオルケットをはぎ取った。 「オニ!」 「買い物行ってきてよ。お客さまが来るの。茶菓子がないのよ」 私はベットの上に座って、ぼさぼさの後頭部をがりがり掻く。 「母さんがぱっと車で行けばいいじゃない」 「弘之が乗っていっちゃったのよ」 「じゃあどうやって行けって言うのよ」 「チャリよ、チャリ」 母はそう言って、すごく懐かしいキーホルダーの着いたカギを私の横に落とす。 「よくこんな骨董品、取ってあるわね」 「あら、今でも弘之がコンビニとか近所の友達の家とかに行く時に使ってるみたいよ」 母はそう言いながら階段を降りていった。 私はベットから立ち上がりながら、こんなことなら車を持ってくればよかった、と心から後悔する。 「何を買ってくればいいのよ」 「桜餅とか、大福とか、そんな感じがいいな。緑茶しかないから」 「はいはい」 「ああ、お金あげるからご飯食べてきて」 「私の分ないの?」 悲しくて、情けない声が出てしまう。 「起きるのが遅いからよ。すぐよ、下り坂なんだから」 はー、とため息をついて、私はもらったお金をGパンのポケットに突っ込むと、外に出た。
|
|