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作品名:Space 作者:うさぎ

第6回   6
まゆみはある日の休日、家からは少し離れた繁華街にあるお気に入りの
大型店に愛車のバイクを転がしショッピングに出かけることにした。

別に電車で行っても良かったが、帰りに荷物を持つことも何となく億劫だったのと、
風を切って走るのに心地いい季節だったので
その日はバイクで出かけることにした。

何かが特に欲しい訳ではなかったが、何の気なしに店内を
ブラブラと見ていた時だった。
反対側の通路の方から突然、

「緒方さん!」と自分を呼ぶ声がした。
声のする方に目をやると何とそこには吉岡の姿が

久し振りの再会だった。
「吉岡さん!お久し振りですね。お元気でしたか?」
「はい!元気でやってます。今日は買い物ですか?」
「はい、え〜まさか私、怪しい人に見られてたんですか?」
まゆみは冗談交じりにそう言った。
「あははは。まさか、そんな訳ないじゃないですか」
吉岡も笑ってそう答えた。

「私この店が好きでよく来るんですけど、まさかここでお会いするなんて。」
「僕がこの店に来るようになったのは最近なんです。
僕もここで会えるとは思ってもいませんでした。」

吉岡は仕事中にもかかわらず、ついつい喋り込んでいた。
そんな吉岡にまゆみが
「お仕事中でしょ?怒られちゃいますよ?」と告げると
「あっそうでした!つい、あの・・・折角会えたんですから、
今夜食事に付き合って下さい。僕今日早番なんで、もう少しであがりなんです。」
ためらうことなくまゆみは
「いいですよ。じゃあ私はそれまでショッピングをしてますから、
お仕事終わったらメールして下さい。」と答えた
「はい。じゃあ又後で」
吉岡は再び保安員の顔で仕事に戻って行った。

二人は久し振りの再会に喜んでいた。
吉岡と別れて一人で買い物を続けていたまゆみは
自分がここまでバイクで来ていた事を思い出した。
(あっどうしようこの辺で食事をしたら飲酒運転になりかねないし、
だからと言ってここへ置いて帰るわけにもいかない・・)

どうしたらいいのかまゆみの買い物気分はいっぺんに吹き飛んでしまい
頭の中はバイクをどうするかだけになっていた。
結局どうするのか答えの出ないまま時間だけが過ぎていき
まゆみの携帯から吉岡のメールを伝える着メロが鳴った。
(あ〜〜どうしよう・・・何て返信をしよう)
何も思いつかないまま、結局吉岡に答えを求めることにした。

「お疲れ様です。実は私今日ここまでバイクで来てるんです。
ここに置いて行く事も出来ないんですけど、どうしましょう・・・」
今日は断られても仕方ないと思いつつ返信ボタンを押した。

返ってきた答えにまゆみは驚かされた。
「まゆみさんバイクに乗るんですか?とても想像できませんでした。
本当にビックリです。だから、モータースポーツにも詳しかったんですね。
まゆみさん、ヘルメットはもう一つ積んでますか?
実は僕もバイクに乗るんです。ヘルメットがあるなら僕が運転しますよ」
「え〜〜」街の中だというのにまゆみは思わず大声を上げてしまった。
そして急いで返事を送った。
「吉岡さんバイクに乗るの?!ヘルメットはいつも予備を積んでます。」
「じゃあ少し遠回りしながら食事に行きましょう」
思わぬ展開に胸弾ませながら、まゆみは運転する吉岡の腰に腕を回した。

吉岡は静かにバイクを滑らせた。
「どこか行きたい所はありますか?」
「いいえ。特には・・・」
向ってくる夕方の少し冷たい風に声をかき消されながら二人は会話を続けた。



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