まゆみの出した条件の内容は自分は転勤ではなく「退社」という事にして欲しいということだった。守秘義務があるのは知っていたが、それでも誰が何を聞いてきても転勤ではなく、退社したと言う事にしてもらいたかったのだ。 まゆみはこの際全てをクリアにして新しい土地で出直したかった。 今の自分は、離婚した時の絶望と自暴自棄と劣等感で一杯だった自分とは違う。 もっともっとこれから自分のための人生を自分で生きていこう。 そのためにはもっともっと輝こう!そう思えるまでになったのは僕のお蔭! 今は僕に私と出会ってくれてありがとうという感謝の気持ちで一杯だった。
それでも、やはり今でも美味し物食べれてるかな、風邪引いてないかな 自分の進む道見つけるって私のところを去っていったのに、 その道見つけられたかな、人間関係うまくいってるかな、等と 僕に心配する事は次から次へと浮かんでくる でも、もうそんな想いもこの土地を離れる時全て置いて行く!!
深雪の退院は原田の退院から3日後のことだった。 退院した深雪を吉岡はそのままタクシーに乗せた。 行き先は深雪を乗せる前に既に運転手に告げていた。 車はそのまま二人を乗せ走り出した。 「着くまで時間がかかるから、少し眠るといいよ」 吉岡がそう言うと深雪は頷き、吉岡にもたれかかり静かに目を閉じた。 ウトウトしていた深雪に 「さぁ着いた。降りるよ」と声をかけた 深雪はてっきり吉岡のマンションに到着したのかと思った深雪は 突然目の前に現れた大きな建物に圧倒され息を呑んだ。 「お兄ちゃん・・・ここ・・って」 「そう羽田だよ。向こうのご両親にはもう連絡してある。」 「どういうこと?」 「退院した深雪を一人で俺のマンションに置いとくわけにはいかないよ。 それに俺だって心配で仕事に集中できないし 今は自分の家でゆっくりした方がいい」 「嫌だ!!私帰らない」 「わがまま言わない。一人で俺のマンションに居ても何にも出来ないだろう? それに俺はまだお前を養っていけるだけの力はないよ。 とにかく休暇を貰ってあるから一緒に北海道の深雪の家に帰ろう。 それにちゃんとおじさんおばさんに今回の事を俺の口から説明しないといけないから」 「え〜やだ!絶対帰らない」 深雪の話など聞く耳もたずといった様子で吉岡はドンドン手続きを始めていた。 吉岡が全ての手続きを終わらせ深雪の元に戻った時 さっきまでそこにいたはずの深雪の姿は既に消えていた。
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