「え〜〜〜?!吉岡さん何でまたそんな事を・・・・」 まゆみは半分驚き半分呆れ気味にそう答えた それに今の自分は僕の事で頭が一杯で・・・ その上吉岡にまでそんな事を言い出されても今の自分にどうすることもできない 吉岡の気持ちまでとても受け止められるはずは無かった。
まゆみは再びストンと椅子に腰を落とした 「その娘、今頃泣いてるんじゃないですか?一人で部屋に置いて来て大丈夫?」 「・・・・泣いてました・・・僕の方が居たたまれなくなって出てきてしまいました」 「どうして・・・こんな事になってしまうんでしょうか・・・ 長い間ずっと好きだった人の傍にやっと来れたのも束の間で・・・ 今は行くとこも帰る所も失ってしまったんでしょその彼女・・・・」 「・・・・・」 まゆみの言葉に自分のしている事の罪の大きさを 改めて思い知らされた吉岡であったが 「だからって僕は彼女と結婚することなんか出来ないし、 彼女をこの先恋愛対象として見る事も出来ないんです・・・仕方の無いことなんです」 「確かにそうですよね・・・自分がどれだけ相手を思っていても、同じだけの愛が返ってくるとは限りませんよね・・・」 まゆみは吉岡の事ではなく原田のことを思って話していた。
あんなに由香里を愛しているのに・・・ 離れて何ヶ月も経っている今でさえ彼の彼女への想いは薄れることも消え去ることもない。それどころか、今も自分の思いに押しつぶされかかっている 原田の由香里への一途な思いを知っているだけにまゆみもまた辛かった。
このまま吉岡と話していても頭の中は原田の事しか考えられないまゆみは 吉岡に対しても失礼だと思い、その場を去ることにした。 「吉岡さんごめんなさい。やっぱり今夜はこのまま失礼します。 今私の頭は僕の事だけで一杯一杯なんです。ほんとうにごめんなさい」 まゆみは深々と頭を下げて喫茶店を後にした。
まゆみの足はそのまま原田のマンションに向っていた。 窓の下に辿り着くと、4階の僕の部屋からうっすらと明かりが漏れていた。 「良かった・・・取り合えず家には居るんだ・・・ そのまますっと目を閉じて原田のことを思い浮かべてみた。 原田が大好きなギターを弾いている姿が頭の中に浮かんできた・・・ そっかぁ僕は今ギターを弾いているんだ。
当っているのか、外れているのかは確かめることは出来ないが まゆみは自分の感を信じ、その晩はそのまま家に帰って行った。
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