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作品名:Space 作者:うさぎ

第31回   31
やっぱり話、したくなったんだ・・・
良かった。あのまま一人でまた酒をあおる日々が続いてしまう
そう思っていたから・・・そんな僕を見てるだけの私も辛い・・・
メールの相手が原田だと疑うこともなく、家を出たまゆみは全速力で走り出した。

喫茶店のドアが開き、入り口に現れたまゆみの姿に吉岡は少し驚いた。
いかにもすっ飛んできたという感じで息を切らしているように見えたからだった。
メールを送ってから数分後の事でもあった。

原田だけを探していたまゆみの目には吉岡の存在など全く映っていなかった。
まゆみは店内全体に目を配り、原田の姿がそこにないと分かると
慌ててそのまま店を出ようとした。まゆみは原田が自分を待てずにまだその辺を歩いているかもしれないそう思ったのだ。そんなまゆみの様子に慌てて吉岡が声をかけた
「まゆみさん!」
「えっ!あっ吉岡さん・・・何でこんなとこに?」
「こんなとこ・・・・」
喫茶店のママが聞こえるような聞こえないようにボソっとつぶやいた
「あっ、」まゆみはママに向ってすいませんと頭を下げた
「吉岡さんいつからここに?」
「さっき来たところですけど・・・」
吉岡はまゆみの様子に何か違和感を感じ始めていた
「あの・・・ここに僕は来ませんでしたか?吉岡さんがここにいらした時、
この店に僕は居ませんでしたか?」
「はぁ・・・原田君も誰も居ませんでしたけど、彼に何かあったんですか?」
「いえ・・・ここに居るって今さっきメールが来たものですから・・・」
「メール?」
「はい・・・」
「それって僕が送ったものじゃありませんか?」
「えっ・・・吉岡さんが?」
まゆみは慌てて携帯の送信者を確認した。
「あっほんとだ・・・僕からじゃなくて送信は吉岡さんになってる・・・」
まゆみは一度に体中の力が抜け落ち、椅子に音をたてて座り込んだ
「何で・・・間違っちゃたんだろう・・・馬鹿みたい・・・
緒方さんって書いてあったからてっきり僕からだと思っちゃったんだ私・・・・」
「すいません。何だか名前で呼ぶのを躊躇ってしまったものですから・・・」
「いいえ・・・私が勝手に勘違いをして騒いでただけですから・・・」
注文を聞きに来たママは相変わらず不機嫌そうな顔で注文を聞くとそそくさとカウンターに戻って行った。
「こんな時間に呼び出したりしてすいませんでした・・・・」
吉岡が話しを始めたが、まゆみの頭の中は、原田の事だけで
他の何も入り込める余地は無かった。

メールが吉岡だったと言う事は、僕は今一人でどうしているんだろう・・・
布団にくるまって泣いているのか又酒を買い込んで飲んでいるのか?
不安な事が次から次へと頭の中に浮かんできてしまう。
吉岡もまゆみの様子がおかしいことはすぐに気がついた。

「彼に何かあったんですか?でなきゃ僕が誘ったからってあんなに急いでここに来てくれるなんあり得ませんよね?」
「・・・・ごめんなさい・・今日はこのまま失礼させていただきたいんだけど・・・」
何が彼の身にあったかなんて話せるわけはないし、だからと言ってここで吉岡と二人でお茶する気にもなれない。立ち上がろうとするまゆみに対して
吉岡は手首をつかんでこう言った。
「まゆみさん待って!僕今夜例の幼馴染の子に好きな人がいるからここを出て行ってくれって話したんです。」


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