ランチの時間を少し過ぎていたせいか、店内は意外と空いていた。 入り口から一番離れた壁側の席に私は先に腰を下ろした。 この席に私が腰をかけたのは、もうひと月以上も前になる。 この店のママらしき女性は、少し不機嫌な様子でお水とお絞りをテーブルの上に置くとすぐにカウンターの方へ戻って行った。
私はメニューを吉岡に渡しながら 「このお店、何でもおいしいですよ。但し量がとても多いんですけど。」 「そうですか、何にしようかな。緒方さんは?」 「私はこのランチプレートで。」 「じゃあ僕はこのカルボナーラにします。」 「カルボナーラですか・・・・」 「美味しくないですか?カルボナーラ?」 「いえ!そんな事は・・・」 そこへ注文を聞きに戻ってきたママは相変わらず、 不機嫌そうな口調で注文を取終えると足早に戻って行った。 彼女が不機嫌な理由を私は薄々感じていた。
実はこのお店、先月退社をした木元のクラスメートの原田哲也と毎週のように 二人でランチに訪れていたお店だったのだ。 この原田という青年が、先月まで、私の傍らで いつも一緒に仕事をし、そして、木元との共通の知り合いの19歳の少年だった。
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