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作品名:Space 作者:うさぎ

第27回   27
翌朝まゆみはいつものように子供達のお弁当作りから一日が始まった。
原田のマンションの下を通りいつものように会社へ向った。
「おはよう。おはよう」行き交う人と挨拶を交わしながら、自分の部署に向った。
昨日休んでいたため仕事はいつも以上に立て込んでしまっていた。
朝から頭の中は余計なことなど全く考える暇も無い程次から次へと仕事に打ち込んでいた。ふっと気がついて時計に目をやるともうとっくに12時を回っていた
「今日のお昼は何を食べようか」などと考えながら一旦自宅に食事を取りに帰って行った。
その頃の吉岡は、いかにも寝不足という顔を引っさげて現場で万引き犯に目を光らせていた
その日の仕事がようやく終了し、事務所に戻った吉岡に友人の豊田が声をかけてきた。
「どうした?その後あの年上の人と何か進展あったか?」
「あぁそれどころじゃないんだ・・・」
ただならぬ吉岡の表情に
「まっ話はこの後ゆっくり聞くよ。取り合えず仕事片付けちゃえよ」
「あぁすぐ終わらせるから」
吉岡はその日の業務日誌を急いで仕上げた。
そして二人はいつも通う居酒屋に向った。
吉岡は先日起きた事の全てを豊田に話すとガックリと肩を下ろし
余り飲めないお酒を一気に流し込んだ。
「おい!おい!気持ちは分からなくもないがそんな飲み方するなよ。
体壊すぞ!それに明日もお前は仕事だろ?」
「あぁ・・・」
その後も早いピッチで飲み続けた吉岡は
かなり酔いが回りとても一人で帰れそうも無い
そんな吉岡を豊田は自宅まで送ることにした。

玄関のチャイムが鳴ると深雪は玄関に急いだ
「は〜い!!お兄ちゃんお帰りなさい」
扉を開けた深雪は驚いた。
自分が知っている吉岡とはまるで別人のような吉岡が友人に担がれるようにしてそこにいたからだった。
「お兄ちゃん?どうしたのそんなに飲んで」
「君が深雪さん?こいつかなり飲んでるからこのまま寝かしてやってくれる?」
「はい。でも私じゃとても運べそうも・・」
「そっか、そうだよな。じゃあちょっと部屋まで運んで寝かせるか」
「はい。お願いします。」
吉岡をベッドに寝かせると豊田は
「君、北海道からあいつに会うために出てきたんだってね」
「はい。お兄ちゃんから聞いたんですか?」
「あぁ、結婚も考えてるわけ?」
「はい。私はお兄ちゃんのお嫁さんになるって決めてるから」
「・・・・でもさ、結婚は二人の意思で成り立つものだよ。あいつの気持ちも同じなの?」
「えっ、私はそう思ってますけど・・・」
友人はこれは確かにちょっと厄介な事態になりそうだとこの時点で納得がいった。
「でも、ずっと長い間君とは会ってなかったし連絡も取り合ってなかったんだろう?」
「・・・・・」
「あいつは君と同じ気持ちなのかな?」
「・・・お兄ちゃん貴方に何か言ったんですか?それともお兄ちゃんがあんなにお酒飲んだのって私の事が原因ってことですか?」
「全く関係ないとは言えないかな、俺の口からはこれ以上の事は言えないけど・・・」
「お兄ちゃん誰か好きな人でもいるんですか?誰?どんな人?貴方その人知ってるんですか?」
「じゃぁ俺はこれで帰るよ。二人でよく話し合った方がいいんじゃないかな?」
「・・・お兄ちゃんに好きな人・・・」
豊田は吉岡に好きな人が居るとは一言も言わなかったが
深雪は独り言のようにそうつぶやいていた・・・
二人がそんな会話をやり取りしている事など全く知りもしない
吉岡は久々に深い眠りについていた。

翌朝深雪は吉岡の目覚めるのを今か今かと待ち構えていた。
「おはよう・・・」吉岡はあきらかに二日酔いという顔でリビングに現れた。
「あっお兄ちゃんおはよう。二日酔いみたいだね。コーヒーでも飲む?」
「あぁ」
深雪はコーヒーを入れながら、昨日豊田に言われた事を今この場で切り出していいものか戸惑っていた。
「お兄ちゃん会社は?」
「ん?行くよ。コーヒー飲んだら支度する」
「そう・・・お兄ちゃん!昨日何であんなにお酒飲んだの?」
「えっ何でって?」
「お兄ちゃんお酒弱いのに何であんなになるまで飲んだのかと思って・・・・
何かあったのかなって」
「・・・・さっそろそろ支度しないと遅れるな」その後も吉岡は何も応えず会社へ向った。
何にも言ってくれないんだ・・・お兄ちゃんやっぱり何か隠してる・・・

会社に着いた吉岡は夕べの事は途中から全く記憶が無く、いささか不安だった。
豊田を見つけると
「豊田!俺昨日の事殆ど覚えてないんだ・・・どうやって家まで帰ったんだろう」
「俺が送って行ったんだよ。お前飲みすぎだぞ。それより昨日お前の部屋で彼女に会ったよ。お前彼女とちゃんと話したか?」
「いや!今朝は二日酔いだったし、」
「そっか。あれじゃ二日酔いになるよな。でも早い方がいいんじゃないか?このままは
やっぱりどうかと思うけど・・・お前があの娘とこのまま付き合っていく気持ちがあるなら話は別だけどな」
「いや・・・それは無理だよ」
「だったら、一日でも早い方がいいんじゃないのか?」
「俺だってそうは思ってるんだ」
「オイ!!そこの二人いつまで話してんだ!!もう仕事の時間始まってるだろ!!」
「ごめん俺のせいでお前まで」
豊田はポンと吉岡の肩を叩くとその場を離れていった
吉岡も豊田の後に続きそれぞれが仕事場に向った。


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