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作品名:Space 作者:うさぎ

第25回   25
まゆみから別れを意味するこのメールを受け取った吉岡は、昨日自分がまゆみをきちんと幼馴染の深雪に紹介できなかった事を恥じるのと同時に思いっきり後悔した。

「何であの時自分の好きな人って言えなかったのか・・・
あそこで自分が全てを正直に言えてたら、まゆみさんは一晩中さ迷う事も、
今自分がこうしてまゆみさんから、別れのメールを貰う事もなかったのに・・・」
幾ら後悔したところで今更時間を戻す事などできない。

今の自分に出きる事は、深雪に自分の気持ちをきちんと伝えて自分から離れてもらう事
そして、すぐにでも北海道に帰ってもらうこと。
しかしそれは、自分の両親にも話が伝わってしまうということになる。
深雪の家とは、家族ぐるみの付き合いをしている
その為、自分の好きな人が45歳の女性だと親に報せる事にもなりかねない。

実は吉岡はこの事が気がかりで深雪にその場で紹介するのをためらってしまったのだ。
別に結婚するわけではない、今、思いを寄せているだけで、しかも相手からは大して相手にもされていない言わば片思い的な状態な訳なのだから、そんなに大げさに考える事もないと思う反面、深雪の伝え方次第ではそれこそ父親が東京に乗り込んでまゆみに直接何か言いがかりでも付けかねない。そんないろいろな考えが吉岡にまゆみを深雪に正直に伝える事をその場で躊躇させてしまっていた。

ガックリと肩を落とした吉岡は仕方なく深雪の待っている自分のマンションに戻った。
「お帰りなさ〜い!!今日お仕事早かったんだね。深雪これからお兄ちゃんと一緒に東京の街歩きたい!ねっいいでしょう?どっか連れってて!!」
深雪は明るく屈託の無い笑顔で吉岡に甘えてきた。
「これから?」吉岡はとてもそんな気にはなれないと思いながらも断る理由が今の自分の思考回路では反応できず。引っ張られるように外出した。

吉岡は見た目のルックスも人並み異常で、性格も人に好かれるタイプだった。
昔から自分が好きだと思う女性と大して苦労もせず付き合うことができたし、
片思いなんて自分には無縁の世界だった。自分が好きだと素直に告白すればたいていが
OKになってしまっていたからだ。恋愛で自分がこんなに切ない思いや苦労をするとは思ってもいなかった。それだけに尚更もがいているのかもしれない。
吉岡はそんな気がしてならなかった。

一方深雪は、大好きな吉岡に久しぶりに会えた喜びと、腕を組んで東京の街中を歩けている自分がとても幸せで笑顔が耐える事はなかった。
そして、そんな深雪は吉岡の今の状態など指して気にも留めていなかった。

吉岡は深雪の買い物に付き合い、夕食は彼女が初めからここに来ると決めていたらしい
イタリアンのお店で、メニューに迷うことなくあっという間に二人分のオーダーを済ませてしまった。買い物の間も食事の合間も、喋っているのは深雪一人で、吉岡は時々相槌を打っているだけだったがその相槌ですら、本当に会話が頭の中に入っているわけではなく適当に口先から出ているだけのものだった。
それでも深雪にしてみれば大好きな人を相手に久々の会話だったので会わなかった間にあった事の全てを話したくて一人でしゃべり続けていた。
数時間が過ぎ、そんな深雪の気も幾らか落ち着き、深雪の方からマンションに帰ろうと言い出した。吉岡にしてみればやっとマンションに戻れる・・・そんな安堵の気持ちだけだった。

しかし、このままではいけない。
早く深雪を北海道に返さなければ・・・
そうしないと、深雪は永遠とここに居続けてしまう。
長くなればなるほど国の双方の親も二人はうまくいってると思われかねない。
まゆみの事はさておいても、とにかくいつまでもここに居られては自分も落ち着いた生活ができない。やはりきちんと話さなければと・・・

吉岡はその晩深雪に話す事を決心した。
マンションに戻った深雪はすぐにシャワーを浴びに浴室に向った
シャワーを済ませた深雪はバスタオルを巻いたままの姿でリビングに現れた。


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