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作品名:Space 作者:うさぎ

第18回   18
原田は高校最後の夏休みにバイクで走っていた時
その途中駅に急いでいた友人をバイクの後ろに乗せた.
その事がその後の彼の人生の全てを狂わせてしまった。

その友人に電車の時間に間に合わせるよう頼まれた原田はアクセルを全快にして急いだ。カーブに差し掛かる寸前に自分のバイクの前を横切ろうとした猫を
よけようとハンドルを切った。バイクは横転し、原田は運転席から放り出され、
道路を転げ回った。後ろに乗っていた友人は運悪く道路脇に立っていた電柱に全身を強く打ちつけ、ほぼ即死に近い状態で病院に運ばれ後数時間後に息をひきとった。

彼が後ろに乗せていたのは、彼の通う高校の生徒会長も勤めた事のある
優秀な男子生徒だった。
その上この生徒は学校でとても人気者だった。
それだけに、彼を惜しむ声は多く、それと引き換えに原田に対しての風当たりはひどく、どこを歩いていても後ろ指を指され、誹謗中傷にあい、家族も肩身の狭い思いで日々を過ごさなければいけなくなった。家族も表立って彼をかばう事ができず
今まで仲が良かった友人達ですら、お前が死ねばよかったなどと、陰口を叩いた。
それでも彼は必死に堪えていた。
故意では無いにしろ、何を言われても人一人の命を奪ってしまったのは事実なのだという事を彼自身もしっかり現実として受け止めていた。

それにどんなに辛くても自分には愛する彼女がいる
彼女とは一生離れることは無い。
彼女だけは最後まで自分を支えてくれると信じていた。
もし自分が反対の立場だったら「自分は彼女を必死に支える」そう思っていたからだ。

しかしそれはほんの束の間の事だった。
彼女も日を追うごとに原田に冷たくなっていった。
原田と付き合っていると言うだけで、自分まで友人達や世間から白い目で見られる。
その事に彼女は耐えられなくなっていったのだ。
やがて、彼女は原田の元を離れていった。

この事が彼の心を大きく引き裂き彼が今まで生きてきた人生の全てを否定し
その後の彼の方向性をも変えてしまったのだ。

原田は彼女が自分を非難する立場へ回ってしまった事に堪えられなくなり、
彼は卒業式を待たずに、何もかも捨てて東京に出てきていた。
まゆみの傍に来た頃の彼は、余り言葉を発する事も無く
ただ与えられた仕事を淡々とこなしているだけの子だった。

そんな彼がまゆみに心を開き始めたのは二人の何気ないこんな会話からだった
「見たい展覧会があるんだけど、子供達のどっちも一緒に行ってくれないんだよね・・・」
「旦那さんと行かないんですか?」
「私旦那さん居ないから」
「えっ?」思わぬまゆみの返答に原田は驚いた
「私、バツイチなんだよね」
「そっそうなんですか・・・」
まゆみは離婚した事を世間の人と言うか親しい友人意外
一緒に働いている人達にすら伝えていなかった。

次に結婚するつもりでもあれば、
自分が独身だとアピールすることも必要かもしれないが
まゆみは二度と結婚するつもりも誰かと付き合うつもりも無かったからだ。
まゆみは原田に自分がバツイチだと教える事にさして抵抗はなかった。
年が親子ほど離れていたし又、この子にバツイチだと教えたところで、
何かが変わるとも思えなかったからだ。
今思えばこの一言が二人をどんどん引き付けていってしまったのだ。


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