横たえたソファーで思った。 「僕の心配の仕方はいつもこうだ・・・・・ 私は心配しているとそれを全面的に本人の前に出してしまう それが相手の負担にもなる でも僕の心配の仕方は決して相手に負担にならないように 相手に自分が心配している事を気付かれずにそっと心配してくれる・・・ 前回の公園での時もそうだ・・・ 私だったらきっとあのまま公園の中に飛び込んで 「どうしたの?何があったの?」と騒ぎ立てていただろう・・・・ でも僕は私に気付かれないようにそっと影から見てるだけで もしあのまま眠らなかったら私が家に帰るのを見送り そのまま自分も帰って行った事だろう・・・ 今回もそう あの時私は気配を感じなければそのまま家に入ってしまっていた。 それでも僕はきっと私が家に帰ったのを見送ると黙って帰って行った・・・ 少し前までは私がいつも僕の事を心配していたはずだったのに いつからこんな風に僕に心配して貰うばかりになってしまったのか・・・
それにしても私の周りは一体何が起こってるんだろう・・ 何でこんなに次々といろんな事が・・・ 私はこの間まで普通の主婦だったのに・・・ 何でこんな事になっているのか・・・ 自分が若い男の子とご飯に行ったりホテルまで・・・
鏡で自分を映して見たところで、別段綺麗でも色っぽい訳でもない・・・ そんな事が頭を過ぎっていながらもまゆみはそのまま深い眠りについていった。
翌朝いつものように、子供達のお弁当作りからまゆみの一日が始まった。 「お母さんこの頃遅い日が多くない?」 娘のこの一言に自分が一瞬ビクッとしたことが娘に気づかれたのではないかと身構えた。 「そうだね!でも、もうこれからそんな遅い日も無いと思うから」 「ふ〜ん!別にどうでもいいけど」 娘はたいして気にも留めていない様子の返事を返してきた。 昨日の夜に自分の母親に起きた事実を知ってもこんなに平然としていられるのだろうか?間違っても決して言えない事だが・・・ まゆみはそんな事を考えながら子供を送り出した後 自分も朝の身支度を整え家を出た。
この日も原田の住むマンションの前を通って会社へと向った。 自転車を漕ぎながら、まゆみは夕べの原田の言葉を思い出していた。
「僕が一番辛い時支えてくれたのは緒方さんだけだったから。 緒方さんが居なかったら今の僕は無かったと思うし、 この世にも居なかったかもしれない・・・」 原田が言ったこの一言が、初めて原田が自分の部署に配属されてからの事を思い出させていた。 まゆみは仕事場では、一切本来の自分を出さず強い自分だけでいる事にしていた。 まゆみの本当の姿を見て仕事をした事があるのは原田だけだった。 原田は余りにも若く、生まれて始めてのアルバイトだったせいもあり、 おまけに自分の息子と年がほぼ同じと言う事もあってまゆみは原田の前では、 仕事の仮面をはずす事も多かった。 原田がまゆみの傍に来た時、まゆみは彼がそんなに大きな心の傷を胸に抱えている事など想像もしていなかった。 原田はあの頃、過去の全てを捨て四国から東京に出てきていた。 2度と郷に帰るつもりは無く、東京に出てきてからも暫くは心も閉ざし 学校でも友人を作ろうとせずに、自分の携帯が鳴るようになったのは まゆみの傍で仕事を始めるようになってからだった。
|
|