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作品名:Space 作者:うさぎ

第16回   16
「どうして・・・どうして何も言わないで、ついて来てくれたの?僕を愛していないのに!」
吉岡は初めて口を利いた。
「・・・・理由なんてないよ、吉岡さんの思う通りでいいから」
まゆみは少し微笑を浮かべたような表情でそう答えた。
そう答えてはいたものの
その心の裏側では僕の顔が浮かんで消えなかった。
僕の事が足かせになる事などないと思っていたのに・・・・
何故・・・何故僕の顔が浮かんでくるんだろう・・・・

吉岡は浴室に向った。
まゆみは自然と携帯に手が伸び、目が原田のメルアドを探していた
文章を打ち込もうとしたが何て言えばいいのか言葉が全く出てこない。
それでもどうしても、原田にメールがしたかった。
まゆみは何も書いていない真っ白なメールを原田に送ってしまった。

何も書いてない真っ白なまゆみからのメールに、原田はさっきがさっきだけに
何か只ならぬ予感が走った。それでも、ここでどうしました?と聞いてしまったら
自分は又まゆみの世界に引きずり込まれる。
そして今度こそ唯では済まないかもしれない・・・
そんな予感がした原田は、中々返信を返せないでいた。

自分の送った空のメールに原田から何の返信も返って来ない・・・
それが僕の答え・・・・
きっとさっきの神社で僕は嫌な思いをしたんだ・・・・
もうこれ以上私に関わりたくないって事なんだよね・・・
まゆみは原田の気持ちをヒシヒシと感じていた。
「自分が安易に送ったメールで僕は今困ってる!!ごめん・・・」
まゆみは聞こえない原田に向かって誤った。

やがて、腰にタオルを巻いただけの上半身裸の吉岡が浴室から出てきた。
眩しいほどの若い裸体にまゆみは目のやり場が無かった。
私はこんな綺麗な若い男性の相手をするのか・・・
自分の年齢と裸体に自信などまるで無いのに・・・
今すぐここから逃げ出したい!
そんな自分を必死で押し殺し自分もシャワーへ向った。

まゆみが入ってすぐにまゆみの携帯が光った。
原田からのメールだった。
吉岡は少し躊躇したがそのメールを読む事にした。
「緒方さんどうかしましたか?」
原田もまたこのメールを打つのにかなりの勇気がいった。

吉岡は「僕!まゆみさんは今シャワーを浴びてるよ。
ここからは大人の時間だ。ここは愛し合う二人の為のホテルだからね。
僕がまゆみさんをここに連れてきたんた。
これから起こる事、君にも理解できるよな?じゃあ」

とんでもない内容のメールが返ってきた原田は
焦って居てもたってもいられなくなった。
「何考えてんだろう!緒方さんは!
何で?何であの後、ホテルに行く事になっちゃったんだろう・・・
シャワーって・・・一体どういうつもり・・・」
原田は部屋の中を行ったりきたりと落ち着かない。
それでも二人の居場所の分からない今の原田はどうすることも出来ずにいた。

シャワーから出てきたまゆみは流石にバスタオル1枚という勇気は無く
バスローブ姿で吉岡の前に現れた。
そして、自分もビールに手を伸ばしたその時
「まゆみさん!さっき僕からメールが来ましたよ」と吉岡が告げてきた
「えっ僕から?」
「僕が勝手に返信しちゃいました」
「えっ返信?」
まゆみは慌てて携帯を手に取りで二人のやり取りを見た。
とんでもない内容にまゆみは慌てて原田に電話をかけた。
「僕!ごめん!大丈夫、何でもないから」
「緒方さん今何処にいるの?」
「えっ?・・・」
「ホテルってほんと?」
「・・・・・」
全く喋れないまゆみに原田は
「明日から僕や子供さん達の顔ちゃんと見れますか?」
きつい一言だった。
見れるわけが無い
「僕・・・」まゆみと原田のこのやり取りで全てを理解できた吉岡は
まゆみから携帯を取り上げると
「今からここを出てまゆみさんを家まで送って行くから。
もう心配しなくていいよじゃあ」
それだけ言うと吉岡は電話を切った
吉岡は洋服をまゆみに手渡しながら、
「まゆみさん出ましょう」そう言いながら自分も服を着始めた。
2人を乗せた車はホテルの駐車場を後にしてまゆみの自宅へと向った。

2人は話す言葉を捜していたが、どちらもきっかけを掴めないまま
車はまゆみの家へと到着してしまった
お互いもう二2度と会う事は無いだろうという予感だけは共通した思いだった。

まゆみは車を降り家へ入ろうとした瞬間
背後に原田の気配を感じた。
「僕?」
そうつぶやくと今来た道を急いで引き返した。
少し遠くだったが自分のマンションに向って歩いて行く原田の後姿が確認できた。
「やっぱり僕だ!」
まゆみは原田に向って走り出した。
『僕!!』まゆみは後ろから原田の腕をギュッと掴んだ。
「わっ!ビックリした!!緒方さん何で?」
「家に入ろうと思ったんだけど、
何だか僕の気配を感じて戻ったらやっぱり僕だった・・
まさか僕はあの電話の後ずっとここで私が帰ってくるの待っててくれたの?」
「僕が一番辛い時に支えてくれたのは、緒方さんだけだったから・・・
緒方さんが居なかったら僕はこの世に居なかったかもしれないし・・・」

「戻ってきて良かった・・・」まゆみは心からそう思った。
戻ったからこそ僕からこんな嬉しい言葉が聞けた・・・
言葉が出てこないまゆみに対して原田は
「じゃあもう遅いんで僕帰ります。緒方さん明日は仕事?」
うなずくまゆみに
「じゃあおやすみなさい」
原田はその場を後にし再びマンションに向って歩き出した。

まゆみは大人は自分の方なのになんて情けない大人なんだろうと
自分の愚かさと情けなさに打ちのめされていた。
まゆみは自分の家に戻ると、この日も静かにソファーに身を横たえた。


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