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作品名:Space 作者:うさぎ

第1回   1
その日、いつものように私は出社した。
そして、いつものように、社員通用口のお店の裏口から入ると
「おはようございますと。」と行きかう人達に挨拶を交わしながら、
奥の更衣室に向かって歩いていた時、
突然背後から声がかかった。
「おはようございます。」
私は少し驚き、慌てて振り向くと、朝の爽やかさを一人でせしめているかのような、
色の白い綺麗な顔立ちをした一人の青年が私の背後から声をかけてきた。
彼は、この店に万引き犯を捕まえるために、時々仕事で来ている保安の青年だった。

「おはようございます。今日は早いんですね。」
そんなに親しいわけでもないこの保安の青年に突然挨拶されて、
私は少し戸惑いながらもそう挨拶を返した。
「実は僕、今日で最後なんです」
「えっ最後?!」
突然の朝の挨拶だけでも驚いていた私に彼はそう言った。
一瞬返答に困った私だったが、口からはもう返事が声になって出ていた。
「最後って保安さんのお仕事を辞めてしまうんですか?」
「いえこの店に来るのが最後なんです。」
「そうなんですか・・・お顔が見れなくなるのは寂しいですね。」
私は正直に自分の気持ちそう伝えた。
彼は甘く、端整な顔立ちでとてもそんな危険な仕事をするようには見えないが、
結構凄腕で店を訪れる度に万引き犯を捕まえていた。
私にしてみたら、自分の働いている店に、
そんなに万引き犯が潜んで居る事のほうが驚きだったが・・・
そんな保安の青年が私に言った次の一言が、
朝のまだ眠気の残っている私の意識を一気に目覚めさせた。

「あの、もし良かったらお昼休み一緒にランチしてもらえませんか?」
「えっ!!」思わず声が詰まる。
この人、本当私とに会話してる?
今振り返ったら、若い女の子が私の真後ろに立っていて・・・
もしかしたら、彼は私の頭上でその娘に向って言っているとか・・・

仕事の邪魔をしてはいけない。・・・そんな思いもあって同じ店内で顔を合わせても
会釈をする程度で会話と呼べる物は殆どなかった。
それなのに、彼は私をランチを誘ってきた。
驚きはしたが、断る理由もさしてないので
「私でよければ是非」そう答えるのにたいして時間はかからなかった。


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