公子は、期待をこめて頷いた。仕事をしていれば、腐る気分も紛れるし、この店は、忙しそうで人手が足りなさそうだ。 「じゃあ、今から、頼めるかしら?」 「母さん、ちゃんと、決めてから。ねえ、瀬戸さん。」 「いいえ。いいです。お手伝いします。」 公子が勤めていた会社は、中堅企業だったとはいえ、事務員もベテラン級の局にもなると、出荷も検品も、工場仕分け作業も、何でも繁忙期には担ぎ出されていたのだ。そして、仕事では、公子の評価は高かった。 コンビニの仕事は思った以上に大変だったが、その分、働いている間は、秀和のことを考えないですんだ。信二の母は、本当に体調が優れないようだったのを、おして無理して働いていたようだった。 仕事をするのが当たり前で、礼など言われたことがなかった公子にとって、信二の母が、本当に感謝してくれるので、張り切って頑張れた。売り上げが芳しくないのか、信二と信二の両親だけで、切り盛りしているようだった。 翌日から、公子は、信二のコンビニに出勤した。 仕事をしながら、狭い空間の中で、信二と、信二の両親から、美紀が結婚して県外に住んでパートをしながら2人に子供の母親になっていること。信二には2人の男の子がいるが、母親は男を作って逃げており、離婚が4年前に成立していることを聞いた。信二の母親は、2人の孫の世話もし、コンビニの仕事もしているようだった。 ちょっとお手伝い、と、言われていたものの、当然、公子は働かせてもらうだけは働きたかったし、母親は、家のこと、孫のこと、従業員が入ったらやろうと思っていたことに専念してしまい、店には顔をあまり出さないようになった。 夜勤を担当している父も、母に代わって幼い孫の面倒を見ているので、疲れているように見えた。 公子は、精一杯働き、当然のように、あっという間に、従業員としての要的存在になっていた。 小学校と中学校が近いせいもあり、売り上げはかなりいいことがわかった。それなのに、従業員を置いていないのは、なかなか、うまく行かないのが理由らしかった。コンビニの仕事は、かなりハードだし、若者は繁華街や商店街でバイトを探すし、主婦にはキツイ仕事だった。信二は、くるくるとよく働くが、経理的業務が苦手らしく、公子が手伝うと、とても喜んでくれた。
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