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作品名:寿の次 作者:津那

第5回   惨めな後始末
 騒動は2日ですんだ。公子の父と前田家が話し合い、前田が10万を負担して、すべてを終結させた。前田の妻も知るところとなったが、公子に妻から謝罪され、公子はよけいに惨めだった。
 あっけない幕切れの後に残ったのは、公子が招待した友人知人に、どう説明するかということ。秀和の妻の申し出通り、一方的に公子が秀和に騙されたことにして、破談の理由にした。
 相手に妻子があることが、挙式1ヶ月半前にわかり、破談となりました。列席の返事をいただきながら、誠に申し訳ございません。挙式はありません。
 公子は、数十通の手紙をポストに投函した。
 裕子夫妻は、公子の家族にも深々と謝罪をしたが、裕子の夫も秀和とはそれほど懇意ではなく、本当に既婚者とは知らずに紹介していたことがわかったので、亀裂は入らずにすんだ。
 手痛い傷を負って、公子は茫然自失の日々を過ごした。
 母が近所の知合い達からも、祝福を受けていたので、公子を見る目は、同情の眼差しだった。誰しもが腫れ物を触るように接する。好意的な目だけではないが、公子は、それさえ気にならなかった。
 当然、秀和からの音信はない。
 公子の旧友たちも、言葉がないのだろう。音沙汰はない。公子の方からも、無駄話の電話やメールさえ、相手に気を使わせるだけなので、遠慮していた。
 失ったものは振り向くまい。
そろそろ、仕事でも探さないと。
いつまでも、実家の世話にはなれない。そして、この先、自分の食い扶持は自分で養うしかない。憮然たる現実が待っていた。


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