だが、遺跡探索は難攻しとった。さすが伝説の魔女の作った遺跡と言ったところか、なかなか一筋縄ではいかない作りになっとるで。獰猛なモンスターに極悪な配置のエグいトラップ。生前のミラノの性格がわかるようや。ホンマ、うちのマールとええ勝負やで。
でも、これだけガードが固いっちゅうことは、それだけ降魔の杖がものごっつう凄いアイテムてことやろ?その分期待も高まるってもんや。
――バッツ様、参りました〜。
ふっふっふ、あいつの泣いて許しを請う姿が思い浮かぶようや。
「何をニヤニヤしているニャ。気持ち悪いニャ」
ペケに言われ慌てて顔を取り繕う。いかんいかん、思わず顔がニヤついてしもうた。
「それにしても腹が減ったニャ〜」
――グー。
ペケの大きな腹の音が遺跡内にこだまする。
「さっき光ゴケを食ったやないか」
「あんなもん食えるかニャ!ビフテキを食わせろニャ!」
またもやペケがジタバタし始めた。全くなにがビフテキや、お前なんか猫マンマで十分や!光ゴケをまぶして食っとけっつーの!
「腹減ったニャ〜!なんか食わせろニャ〜!もう動けないニャ〜!」
はぁ、疲れる……。
「ホラ、行くで」
――カチ。
動こうとしないペケを引っ張った拍子にワイは床で何かを踏んだ。
「カチ?」
「バッツ、今の不吉な音は一体なんニャ?」
――ゴゴゴゴゴゴ……。
体感震度7くらいの揺れと同時に通路奥の壁がゆっくりと開いていく。そして直径がちょうど通路幅と一緒くらいの大きな黒い玉が姿を現した。
「……これってお決まりのアレかニャ?」
「……なるほど、だから通路が坂になっとるんやな。ここの通路だけ坂道だなんて、なんか不自然だなーっと思っていたんや。ビンゴやで」
完全に姿を現した黒い玉はその巨体をゆっくりと傾けると、重力に引き寄せられるまま、凄い勢いでワイらの方へと転がってきた!
|
|