ショックのあまり言葉も出ず、その場で立ち尽くすワイにトライが体を寄せてくる。
「これでわかっただろ、アンタを相手してくれる女なんて私ぐらいなもんさ。それに、その体の呪いを解くにはコレが必要なんだろ?悪い話じゃないと思うがな」
降魔の杖を目の前にチラつかせながら、トライが胸を押し付けてきた。
杖が……おっぱいが……。
「……わかった、お前と結婚するで……」
「本当か!?」
意識が朦朧状態のワイを押し倒し、トライが歓喜のキスをしてくる。ワイはトライから降魔の杖を受け取った。
ふん、せいぜい今のうちに喜んでいろや。誰がお前みたいなアバズレと結婚なんてするか。コレさえ手に入れたらこっちのもんや。
ワイは降魔の杖を握り締め、ありったけの魔力を込めた。持つ者の魔力を何倍にも増殖すると言われる降魔の杖。こいつの力で目にもの見せてやる。これでもくらえや!
――ブイイイイイイン。
ワイの魔力に反応した杖が激しく振動し、トライの肩を直撃した。
「ああああ〜〜!きく〜〜!」
「へ?」
トライが歓喜の声をあげた。
「やっぱり肩こりに効くねぇ、この『伝説のマッサージ器』は。それにしても、まず妻の肩こりを治そうとするなんて、アンタって意外に愛妻家なんだねぇ。ますます惚れちまうよ」
そう言うとトライはワイの顔中にキスの嵐を浴びせた。
降魔の杖が『伝説のマッサージ器』……嘘や、そんなの嘘や〜!!
「そう言えばマール様も最近肩こりがひどいって言っていたような気がするニャ……」
「だからワイに降魔の杖を持って来いって言ったのか?!んな、アホな〜〜〜!!」
「なぁバッツ、子供は何人欲しい?私は少なくとも十人は欲しいぞ。将来は子供に囲まれて楽しく暮らせる家庭を作ろうな。これがお前の言っていた酒池肉林計画だろ?良かったな、夢が叶いそうじゃないか」
トライはニコッと微笑んだ。
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