この世の全ての理が記されていると言われる『英知の書』。その中には過去、現在、未来、全ての出来事が記されており、自分の手で加えることも消すことも出来るらしい。その力は時空をも操作し、持つものは神にも悪魔にもなれると言われている。
ワイは今、その英知の書を手に入れるため『シャンシャーニの塔』の最上階におる。天まで続くと言われるこの塔、周りは一面の雲に囲まれ他には何も見えへん。ワイの横を突風と共に物凄い速さで雲が通り過ぎていく。きっと、ここまで辿り着けたのはワイぐらいなもんやろな。
「うふふ、やるじゃないのバッツちゃん。まさかここまでとは思ってもいなかったわ」
そして、英知の書の現在の持ち主が目の前にいる『始まりの人、マール』や。世界の始まりと共に生まれた人間の一人と言われているマールは英知の書を守る管理人や。
「ふん、そんな余裕でいられるのも今のうちやで。大人しく降参したらどうなんや?」
マールはクスリと微笑むと、艶やかな銀色の髪をサラリと揺らしワイの目ををジッと見つめた。ワイはゴクリと聞こえそうなくらいの音で生唾を飲み込む。
マールはその吸い込まれそうな瞳の奥に才知を感じさせる、まさに才色兼備を地でいっとる女やった。こんな形で出会わなければワイの女にしてやったのに……実に惜しいで。 だがこれも運命や。過去のいい女、現在のいい女、そして未来のいい女。『英知の書』の力で、この世の全てのいい女を手に入れるため、この勝負勝たせてもらうで、目指せ酒池肉林!
ワイは長き戦いに終止符を打つべく、最強呪文『天地崩壊』の詠唱を始めた。マールも何かの呪文の詠唱を始めとる。恐らく次がお互いにとって最後の呪文になるに違いない。
ワイは目を見開いた。そしてほぼ同時にお互い呪文を唱える。
「天地……」
「『酒池肉林』!」
マールが放った聞き覚えのある言葉に、思わず呪文を唱えるのが遅れてしもうた。しまったと思った瞬間、周りに何十人もの裸の美女が現れた。
「な、な、な……」
女たちは一斉にワイに群がり押し倒す。物凄い数のおっぱいとふとももにもみくちゃにされ、ワイの意識は一瞬にしてぶっ飛んだ。
「おっぱいが……ふとももが……」
「ふふふ、バッツちゃん、あなたの弱点は女に弱いことよ」
次の瞬間、ワイの顔面めがけて巨大なハンマーが振り下ろされていた。
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