「トライ!これがワイの本当の姿やで!どや、驚いたか!」
「ああ、驚いたよ。まさか坊やが本当にあのスケコマシ大魔道士バッツだったなんてね。それじゃあ、コイツがやられるはずだ」
ミラノ像の残骸を見つめながらトライが言った。そして、妖しい笑みを浮かべながら近づいてくると、そのままワイの後ろに回りこみ背中から覆いかぶさってきた。
「本物を見るのは初めてだけど、私のモロタイプだよ。たまらないねぇ」
胸を背中に押し付けながら、トライが耳元で囁く。
ああ……おっぱいが……おっぱいが……。
「ねぇバッツ。聞きたいことがあるんだけどさ」
「な、なんや」
耳に息を吹きかけ妖しく囁くトライ。ワイは夢見心地に答える。
「さっきの戦闘の時、水蒸気でお互いに姿が見えなかっただろ?なのに何故バッツはアイツの居所がわかったのさ?」
「ああ、それはなペケのおかげやで」
「ペケの?」
トライは意外そうな顔をした。
「アイツ、戦闘前にミラノ像に噛み付いたやんか。その時、口の中に残っていた光ゴケが奴の右足についたんや。それが水蒸気の湿気によって瞬時に繁殖してな、あの水蒸気の中で光ったのをワイは見逃さなかった」
『ペロリーメイト』と言い『光ゴケ』と言い、今回はペケの食い意地に助けられたっちゅうわけや。まさかこんな形で助けられるとは思っても見なかったけどな。本人もそんな気はあらへんのやろうけど。
「なるほど、アンタの光ゴケを使ったのが私の敗因ってワケか……」
「え?それってどう言う……」
――プス。
チクッとした。
見るとワイの首にトライの針が突き刺さっとる。
「でも、さっき言っただろ?大人になったら女に気をつけなって」
急激に意識が遠くなっていく。何がなんだかワケがわからへん。
元の姿に戻る。
↓
トライがワイの姿に一目ぼれ。
↓
酒池肉林!
のハズが、なんで首に針が刺さっとるんや?
「女に甘いこと。それがバッツ、あんたの敗因さ」
倒れていくさなか、トライが妖しく微笑むのが見えた。
ああ、そっか……あのミラノ像の笑い顔……コイツの笑う顔に……そっくり……や……。
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