ワイは黒焦げになっているミラノ像に近づいた。また復活されても困るからな、ちゃんと動かないかどうかを確かめねば、用心するに越したことは無いで。 足の先でツンツンとミラノ像をつつく。ミラノ像はガラガラと音を立てて崩れ落ち、残骸の中から眩い光を放つ杖が現れた。
「これは……」
杖の先は丸く表面には眩い宝石が多数ちりばめてある。ワイが杖を取り強く握り締めると杖はブルブルと小刻みに震えた。この神々しさ……間違いない、これが伝説の神器『降魔の杖』や!ついに手に入れたで!
「やったニャ、バッツ!」
安全になったことがわかったペケが、飛びついてきた。全く今まで隠れておったくせに現金なやっちゃで。でもまぁ今回はこいつのおかげで助かったようなもんやからな、大目に見てやるか。
「ペケ、お前は凄い使い魔や、大手柄やで」
ペケは意味がわからず首をかしげていた。
それにしてもさっきから体の調子がすこぶるいい。呪文のキレも威力も、まるで全盛期に戻ったようや。これも『ペロリーメイト』の効果なのやろか?
「伝説の神器も手に入れたし、おまけにバッツの呪いも解けたしで万々歳ニャ!」
動かなくなったミラノ像の残骸に、とどめの蹴りを入れていたペケが興味深いことを言った。……呪いが解けた?
部屋の隅に放置されていたリュックを見つけ、急いで手鏡を取り出すと、ワイは慌てて自分の顔を見た。そこにはこの世のものとは思えない程の美男子が映っていた。
「戻っとる!イケメンバッツ時代のワイの姿に戻っとる!」
戦いに集中して気がつかへんかったけど、ブカブカのズックの服もピッタリサイズやし、声変わりもしとる。道理で調子がいいハズや、元の姿に戻ったんやからな。
ペロリーメイトのおかげか、それとも他の何かのおかげかは知らんけど、これで酒池肉林計画も復活や!
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