20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:魔道士バッツ、目指せ酒池肉林! 作者:ヒロ

第16回   ペロリーメイト
「とにかく、いったん部屋から出るよ!」

 トライはワイを抱きかかえたまま出口を目指す。だが、出口まであと少しと迫った所で、突然トライが転んだ。ワイはそのまま空中に投げ出される。

 見るとトライの足が床ごと凍り付いとった。ミラノ像の仕業や。銅像の顔が冷徹になっており、口から白い冷気が発せられておる。 

「バッツ、私のことはいいから早く逃げな!」

 冗談やない、女を置いて逃げるなんて、それこそ最高に格好悪いで。

「バッツ!これを使うニャ!」

 その時、扉の向こうに避難していたペケが顔を出し、小さな箱を投げつけた。それはどんな重症も食べるだけで治してしまうと言う究極の回復アイテム『ペロリーメイト』やった。なんでこんな物をペケが持っているんや?

「さっきの部屋で見つけたニャ。後でこっそり食べようと思って持っていたけど、仕方ないからバッツにあげるニャ。オイラに感謝してありがたく食べるニャ」

 拾い物のくせしてずうずうしい……。だけど今のワイにとってはありがたいアイテムや。

 ワイは箱の裏を見た。賞味期限は三十年前、とうに切れとる……。だが背に腹は変えられへん。ワイはソレを箱から取り出すとペロリと食べた。

「ふおおおおおおお!」

 体中から得たいの知れない力が沸き起こる。久しぶりに来たで!コレや、この感じや!

 ワイは飛び上がると足が凍り付いて動けないトライに『魔法解除』の呪文を唱えた。トライを縛り付けとった氷が砕け散る。

「今のうちに逃げるんや!」

「バ、バッツ、その姿は……」 

 トライが何かを言いかけようとしていたが、ワイの耳には届かへん。今はあの木偶の坊を倒すことだけで頭がいっぱだからな。さぁ、反撃開始や!


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 5203