――ゴゴゴゴゴゴゴ!
地響きと共に台座に奉られていたミラノ像がゆっくりと動き始めた。
「ギニャー!!」
驚いたペケが飛び上がり一目散にこっちに戻ってきたかと思うと、そのままワイの横をマッハで通り抜けていった。そうかい、これが最後のボスってわけかい。
「トライ、お前は引っ込んでろや!ワイが坊やかどうか見せたるで!」
トライを突き飛ばし呪文の詠唱を始める。
「バッツ!」
へっ、心配するなってトライ。こんな鉄クズ、速攻でスクラップにしたるで。
ガシャガシャと金属の擦り鳴らす音を出しながら、ミラノ像が迫ってきた。ワイは構わず呪文の詠唱を続ける。
「ウオオオオン!」
耳をつんざくような咆哮と共に、六本の腕が持つ鋭い武器が頭上に振り下ろされた。
――ガシャン!
「バ、バッツーー!!」
ワイの体は綺麗に真っ二つになった……ように見えたのだろう、トライには。だがそれは……。
「『幻影』や!そんなのも見抜けないなんて、大したことないなラスボスさん!」
自分の分身を作る『幻影』の呪文。奴が切ったのはワイの幻や。
ワイの声に気がつきミラノ像が振り向く。だが遅いで!
「食らいやがれ!『業火球』や!」
――ゴオオオオオオ!
瞬間、ミラノ像が巨大な火の玉に包まれた。
ワイの魔力を練りに練った『業火球』!四千度の高熱や、ドロドロに解けて何も残らないで。
「バ、バッツ、お前……一体何者だ?」
驚いた表情を隠せないトライ。
「だから言ったやないか。イケメン魔道士バッツ様とはワイのことやって」
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