20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:魔道士バッツ、目指せ酒池肉林! 作者:ヒロ

第10回   女王蜂
「私がちょっと、か弱い女を装えば鼻を伸ばした馬鹿な男が寄ってくる。そして油断している隙にこの麻酔針でプスッ……て寸法さ」

 胸の谷間からトライが鋭い針を取り出して見せる。ワイは相槌を打ちながらも目線は一点に集中していた。で、でかい……。

「やつらこの遺跡で色々見つけているだろうしねぇ。私は苦労せずお宝を回収出来るってワケさ。さしずめ私がバラで奴らはミツバチってところかしら?ま、今回はミツバチの幼虫が来ちゃったんだけどね、坊やも大人になったら女には気をつけな、アハハ!」

 大きな高笑いをあげながら、トライはワイの背中をバンバンと叩いた。

 バラの花ねぇ。綺麗な花にはトゲがあるって言うけどホンマや。

「どっちかって言うとミツバチを働かせる女王蜂って感じニャ〜」

「うまい!それはうまいでペケ!」

 ペケが珍しくおもろいことを言った。

「何がうまいんだ?」

 トライが不思議そうに見る。トライにはペケの言っていることは聞こえておらん。て言うか聞こえたらヤバイ内容や。

「あー、えっと……そう!こいつってばこの光ゴケが大好物なんや!」

 ワイは壁に生えている光ゴケを掴み取りペケの口に押し込んだ。

「ふごっ!ふがっ!」

 腹が減ったとか言っとったし、ま、ちょうどええやろ。

「へぇ、コケが好きな猫なんて珍しいねぇ」

 トライは物珍しそうに咳き込んでいるペケを見た。

「それにしてもトライこそよく一人でこんな奥まで来よったな。ワイかてここまで来るのは結構てこずったのに、一人で来れたとはとても思えへんで?」 

「ああ、途中まで他の冒険者達と一緒にいたんだよ。中々腕の立つ連中だったんだけど、運が悪くてさ。遺跡のトラップに引っかかって戦闘不能になっちまった」

 トライはクスクスと妖しくほくそ笑んだ。嘘や、トラップなんかじゃない。絶対こいつにやられたんや、間違いないで。ワイは思わず身震いした。マールと言い、ミラノと言い、女っちゅうのは怖い生き物や。油断しとったらホンマ痛い目みるわ。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 5203