北の方向を向いて、義母の仏壇に礼をした後、白装束を上半身脱ぎ腹を切ろうとしたその時、偶然通りかかった流季が止めに入った。 飛び掛るように止めに入られたため、何もできなかったのだ。少しもめあった後、短刀が流季の顔を薄く切った。流季が怯んだので短刀を腹から二十センチくらいはなし、振り下ろした。が、それも流季によって止められた。 「何するのよ!死なせてよー!」 私は涙目で流季に言った。その時、流季に頬をぶたれた。痛かった。 「何やってんだよ!死ぬなんて言うなっ!」 初めて流季に叱られた。いつもはクールな流季がいうので少し驚いた。 「何であんたに分かるのよ!死にたいなんて思ったことないでしょう!?」 大声で叫んだので、近所にも聞こえたかもしれなかった。 「あるよ!俺の親は自殺したんだ!」 その言葉に私は驚いた。 「え・・?自殺・・。なんで?」 いつのまにか流季の目元にも涙が浮かんでいた。悲しいのであろう。泣いた所なんて見たことがなかった。 「俺の親は社長だった。だが、会社は倒産したんだよ!それで、多額の借金が出来たんだよ・・。そして、二人して飛び降り自殺したんだ。俺の目の前で。俺は三歳だった」 言葉を失ってしまった。流季のほうが辛い過去を持っているのかもしれない。私なんて、ただ親に捨てられただけだ。何も愛情を注がれずに。 「施設で俺が十の時、自殺を図った。でもその時、お前みたいな俺と同じ年の男が言ったんだ。「生たくても生きられない奴がいる」と、そして「あと十年は生きろ」とな・・。だから生きてくれ。目の前で死人がでるのは嫌だ。」
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